PC☆LIVE!未来大学校|コンピューター基礎学部
まんがでわかる
パソコンのしくみ大百科
電気・半導体からCPU、画面、音、通信まで。大学キャンパスで、なぜ動くのかを一緒にたどりましょう。

全10章・漫画80コマ、説明図40点、理解度チェック40問。マツモト先生と木製あやつり人形のピノキンが案内します。
この本の使い方
- 漫画で今日の疑問をつかむ。
- ノートと図表で、部品と信号の動きを確認する。
- 実習室を動かし、計算や予想と比べる。
- 理解度チェックで確かめ、用語辞典から本文へ戻る。
第4章で電気と論理回路を詳しく学びます。先に出会う専門語は、巻末の辞典でも確認できます。長い章は節ごとに休憩して進めましょう。
工学の基礎への入口を扱います。図は説明用の模式図です。実習は観察やコピーを使う操作が中心で、電源装置・ACアダプター・電池は分解しません。
理解度チェック:0 / 40問
正誤の記録は、保存できる環境ではこのブラウザー内に残ります。サーバーへ送信しません。
第1章 パソコンの中では何が起きている?
この章の到達目標: 入力から表示・保存までの経路を説明する。
PC☆LIVE!未来大学校|コンピューター基礎学部
今日の疑問
キーボードの「あ」を押すと、どうして画面に文字が出るのでしょう。キーの中から小さな「あ」が飛んでいくのでしょうか。実際には、押された場所を表す信号が送られ、ソフトが意味を決め、画面を描くデータへ変えています。この章では部品の名前を覚えるだけでなく、情報が移動する道筋をつかみます。
まんが「大学校は巨大なパソコン?」


まんがのセリフを読む
ピノキン「パソコンの中って、何があるんですか?」
先生「大学の仕事にたとえて歩いてみよう。」
先生「キーボードは、お願いを受け取る入口だね。」
ピノキン「入力ですね!」
先生「CPUは命令を実行する担当。」
ピノキン「何でも自分で決めるわけではないんですね。」
ピノキン「資料を広げる場所もあります!」
先生「作業中の情報を置くメモリだ。」
先生「保存する資料はSSDなどのストレージへ。」
ピノキン「机と本棚は別なんですね。」
ピノキン「結果をみんなに見せる場所は?」
先生「画面やスピーカーが出力を担当するよ。」
先生「連絡路と電力も欠かせない。」
ピノキン「部品だけあっても動かないんだ!」
ピノキン「パソコンは連係プレーですね!」
先生「次から、その一つ一つの内側へ入ろう。」
ここだけ覚える
パソコンは、電気で表した情報を、ソフトウェアの命令に従って入力・処理・記憶・出力する装置です。
ノートで確認
| 部品・仕組み | 主な役割 | 間違えやすい点 |
|---|---|---|
| CPU | 命令の実行、計算、処理の制御 | CPUだけでパソコン全体にはならない |
| メモリ(主記憶) | 実行中の命令やデータを置く | ファイルの長期保存先とは別 |
| SSD・HDD | OS、アプリ、ファイルなどを保存する | 大容量だけで処理速度は決まらない |
| GPU | 画像処理や並列計算など | 必ず独立したカードとは限らない |
| マザーボード | 部品を接続し、電源や信号の経路を作る | 一本の同じ道路で全通信を行うわけではない |
| OS | 資源やデバイスを管理し、アプリの土台になる | 物理的な部品ではない |
1-1 ハードとソフトは、どこが違う?
ハードウェアは回路や機構です。ソフトウェアは、命令やデータの組み合わせです。楽器と楽譜に似ていますが、楽譜を読んで勝手に演奏する人が中にいるわけではありません。回路が命令に応じた状態へ変わり、その変化が次の処理を起こします。
プログラムも写真も、記憶装置にはビット列として記録されます。同じビット列でも、どの形式として読むかによって意味が違います。数字の「65」と文字の「A」を対応させる規則があるように、意味は表現の規則と処理方法で決まるのです。
1-2 「あ」を入力して表示するまで

図01Aの見方: キー情報、文字コード、字形、画素は別の表現です。
- キーを押すと、キーボードの回路が接点などの変化を検出します。
- キーボード内の制御回路が、どのキーかを表す情報をUSBなどで送ります。
- OSとドライバーが入力を受け取り、操作先のアプリへ伝えます。
- キー配置、修飾キー、IMEの状態などによって、文字や操作に解釈されます。
- アプリは文章のデータを更新し、文字の形を描く処理を依頼します。
- CPUやGPUが描画を進め、表示用の画素データを作ります。
- ディスプレイへ映像信号を送り、画素の明るさや色を変えます。
キーの符号、文字コード、文字の形、画素の並びは、それぞれ別物です。例えばフォントは文字の形を定義する情報で、Unicodeの符号位置そのものが字形の絵になっているわけではありません。日本語入力では、キーを押した結果と確定する文字が一対一にならない場合もあります。
1-3 部品同士は、何をやり取りする?

図01Bの見方: 何を運ぶか、どこを指定するか、何をさせるかを分けます。
データだけでなく、「どこを読むか」というアドレスや、「読み出す・書き込む」といった制御情報も必要です。現代のパソコンでは、メモリ用の接続、PCIe、USBなど、用途に合う複数の経路を使います。道路のたとえだけでは、通信の手順や電気的な規則までは説明できません。
CPUの中にGPUやメモリ制御回路を組み込んだ製品もあります。複数の機能を一つの半導体に集めたものをSoCと呼びます。ただしSoCでも、すべてのメモリや保存装置まで必ず同じチップにあるわけではありません。
1-4 アプリが部品を直接取り合わないのはなぜ?
OSはCPUの実行時間やメモリなどを管理します。複数のアプリが動いていても、一つのCPUコアが同じ瞬間に無制限の命令を実行するわけではありません。時間を分ける仕組みと、複数コアによる並行実行を組み合わせます。
メモリ保護によって、普通のアプリが他のアプリやOSの領域を自由に書き換えられないようにします。ドライバーはOSと個々の装置の間で、必要な操作を仲介します。OSがあれば必ず安全という意味ではありませんが、部品を共同利用するための重要な整理役です。
1-5 スイッチを入れても、すぐ画面が出ない理由
電源が安定し、回路が初期状態になり、ファームウェアがメモリなどを使えるようにしてから、OSを読み込みます。OSがアプリや周辺機器を使える状態に整える時間も必要です。詳細は第9章で追います。「保存装置が空っぽでも、最初の処理はどこから始まるの?」という疑問の答えは、基板上の不揮発性メモリに入ったファームウェアです。
1-6 文字を表す番号と、絵にする処理
例えばASCIIではAに65が対応しますが、文字の符号位置、実際の符号化バイト列、フォントの形は別です。Unicodeの「あ」はU+3042、UTF-8で表すと16進のE3 81 82という3バイトになります。一つの見た目の文字が、常に一つの符号位置とは限りません。結合文字や絵文字の並びもあります。
メモリにある文字の情報を、フォントや配置の規則に従って形へ変え、画素へ描く処理が必要です。第4章でビット列、第5章で表示を詳しく学びます。
数字で確かめよう
電卓で「125×48」を計算し、結果を画面に出す場合、入力・数値表現・命令実行・文字への変換・描画が関係します。答えは6,000ですが、その内部の数値と、画面に描かれた四つの数字の形は同じデータではありません。次章以降では、この間を一段ずつつなぎます。
操作の流れ・今日の実習
自分のパソコンの仕様表示や取扱説明書から、CPU名、メモリ容量、保存装置の種類、GPU名を探して書き出します。見つからない項目は空欄にし、推測で埋めません。ここでは本体を分解しません。
次に「文字入力」「写真を開く」「文書を保存する」について、関係する部品を三つずつ挙げます。保存時にも、CPUやメモリが関係することを確認しましょう。
理解度チェック
出典・次章への橋渡し
MIT Computation Structures を、回路からシステムへ積み上げる学習の参考にしています。次は、CPUが一つの命令をどう実行するかを調べます。
出典
第2章 CPUは何を考えているの?
この章の到達目標: 命令実行の基本、GHz、並列化の限界を区別する。
今日の疑問
CPUが「頭脳」と呼ばれるのは、命令を実行して処理を進める中心だからです。人間のような意思や意味の理解を持つ、という説明ではありません。命令を実行する仕組みを、研究室の仕事として見てみましょう。
まんが「CPU研究室の大事件!」


まんがのセリフを読む
ピノキン「CPUって頭がいいんですか?」
先生「命令を速く実行するのが得意なんだ。」
ピノキン「休まず働いてる!」
先生「プログラムの命令を読み取るんだよ。」
先生「取り出す、読み解く、実行する。」
ピノキン「基本の流れですね!」
ピノキン「125×48は……」
CPU研究員「6000!」
先生「計算も得意分野だ。」
先生「コアは処理の担当を増やすようなもの。」
ピノキン「仕事を分けられると便利ですね!」
ピノキン「GHzだけで比べられますか?」
先生「設計や仕事の内容も大切だよ。」
ピノキン「研究室が暑い!」
先生「電力を使うから、熱を逃がす必要があるんだ。」
ピノキン「命令を組み合わせて複雑な仕事ができる!」
先生「その命令の中身を見てみよう。」
ここだけ覚える
CPUは、命令とデータを受け取り、回路で処理して、次の状態を作る装置です。速さはGHzだけで決まりません。
ノートで確認
- レジスタ:CPUが処理の途中で使う小さく高速な記憶場所。
- ALU:加算、比較、ビット単位の論理演算などを行う回路。
- プログラムカウンター:次に扱う命令の位置を管理するための仕組み。
- 命令セット:そのCPUに与えられる命令の種類や形式の約束。
- キャッシュ:よく使う命令やデータへのアクセスを速める記憶。
2-1 命令は、電気的にはどんなもの?
CPUの命令はビット列です。命令の中には、操作の種類を指定する部分や、使うレジスタなどを指定する部分があります。回路はそのビットの組み合わせに応じて、必要なデータ経路を選びます。文章の意味を読んでいるのではありません。
高級言語で書いたプログラムは、コンパイラーや実行環境などを介してCPUが実行できる処理へつながります。すべてのプログラムが実行前に一括で機械語へ変換されるとは限りません。インタープリターや実行時コンパイルを使う仕組みもあります。
2-2 取り出す・読み解く・実行する

図02Aの見方: PCは次の命令位置を管理し、解読結果がデータ経路を制御します。
単純化したCPUでは、命令の位置を指定し、メモリから命令を取り出し、命令の種類と対象を判定し、演算や読み書きを行い、結果を記憶します。その後、次の命令へ進みます。命令によっては結果を書き戻す工程や、追加のメモリアクセスが必要です。
例えば教育用の仮想命令で、LOAD R1,[A]、LOAD R2,[B]、ADD R3,R1,R2、STORE [C],R3とすると、AとBの値を読み、足してCへ書く動きが見えます。これは説明用の記法で、特定CPUでそのまま実行できるコードではありません。
2-3 「もし~なら」はどう実行する?
比較によって「等しいか」「小さいか」などの条件を判定し、その結果で次に実行する位置を変えます。これが条件分岐です。繰り返し処理も、条件判定と戻る分岐などで作れます。
現代のCPUは先の命令を予測して処理することがあります。予測が外れたら、誤った経路で進めた結果を確定させず、正しい経路へ戻します。このため、同じ命令数でも分岐の性質によって時間が違う場合があります。
2-4 GHzは何を数える?
1 Hzは1秒に1周期。3 GHzは1秒に30億周期です。ここで数えているのはクロックの周期で、必ず30億命令を実行するという意味ではありません。一命令に複数周期かかる場合も、一周期に複数命令を完了できる場合もあります。
単純な評価モデルでは、実行時間=命令数×平均CPI÷クロック周波数です。CPIは一命令あたりの平均クロック数です。命令数10億、平均CPI=1.5、3 GHzなら0.5秒。ただし、待ち時間をどこまでCPIに含めたかなど、測定の条件をそろえる必要があります。
2-5 パイプラインと並列実行

図02Bの見方: 一つの命令の所要時間と、連続処理の処理量を区別します。
洗濯・乾燥・収納を別の洗濯物で重ねるように、命令の工程を重ねるのがパイプラインです。単独の命令が最初から最後まで通る時間が必ず短くなるわけではなく、一定時間に処理できる量を増やすことが主な狙いです。前の結果待ちや分岐などで、工程が止まることもあります。
複数の演算器を使った同時発行、実行順の組み替え、SIMDによる複数データの一括演算などもあります。CPUの内部で実行順を工夫しても、プログラムが要求する結果やメモリの規則を守る必要があります。
2-6 コアとスレッドは同じ?

図02Cの見方: 直列20%、並列80%を理想的に4分割すると全体時間は40%です。
コアは命令を実行する主要な回路のまとまりです。ソフトウェアのスレッドは、仕事の実行の流れです。ハードウェアスレッドの機能では、一つのコアで複数の実行状態を扱い、空いている資源を利用しやすくします。スレッド数がコア数を超えて表示されても、独立したコアがその数だけあるわけではありません。
並列化できる割合にも限界があります。全体の80%だけが並列化できる仕事を、理想的な4コアで実行するなら、時間の割合は0.2+0.8÷4=0.4、速度向上は最大2.5倍です。連絡や分割の負担を無視した上限で、現実にはさらに遅くなることがあります。
2-7 なぜ熱くなる?
回路の小さな容量を充放電する動作や、漏れ電流などで電力を消費します。動的電力の大まかな関係はP≈αCV²f。αは切り替わる割合、Cは容量、Vは電圧、fは周波数です。電圧を上げる影響が大きいことがわかりますが、これはCPU全体の消費電力を完全に表す式ではありません。
温度や電力の制限に近づくと、周波数などを調整して発熱を抑える場合があります。「最高GHz」がいつでも続くわけではありません。
操作の流れ・今日の実習
作業を保存してからタスクマネージャーを開き、パフォーマンスのCPU欄で名前・使用率・速度・コア数を観察します。自分で開いたブラウザーの操作前後を比べます。負荷試験や設定変更は行いません。使用率は「そのCPUで何%忙しいか」の指標で、異なるCPUの絶対的な計算能力を直接比べる数字ではありません。
理解度チェック
出典
MIT Computation Structures 講義資料、Intel Thermal Management Features を参照。次は、命令とデータを置く場所です。
第3章 メモリとSSDはどう違う?
この章の到達目標: DRAM・SRAM・NANDの保持と読み書きを説明する。
今日の疑問
メモリ16GBとSSD512GBは、なぜ足して考えないのでしょう。どちらもデータを記憶しますが、速さ、容量、保持の仕組み、使い方が違います。机と本棚のたとえから、電気の記憶へ進みましょう。
まんが「机は広いのに、本棚がいっぱい?」


まんがのセリフを読む
ピノキン「16GBと512GB、足していいですか?」
先生「役割が違うから、別々に見よう。」
先生「メモリは作業机のような場所。」
ピノキン「今使うものを広げるんですね!」
ピノキン「もう置けません!」
先生「メモリ不足でも、やりくりが必要になる。」
先生「保存する場所はSSDなど。」
ピノキン「こちらは本棚ですね。」
先生「開くときに必要なデータを読む。」
ピノキン「作業したら保存!」
ピノキン「電源がなくなったら?」
先生「普通のRAMは内容を保てない。SSDに保存した内容は残るよ。」
ピノキン「記憶の仕掛けも同じ?」
先生「電荷の使い方から違うんだ。」
ピノキン「机と本棚、その中身まで知りたい!」
先生「小さな記憶の部屋を見よう。」
ここだけ覚える
メモリは作業のため、ストレージは保存のため。どちらも容量だけでなく、アクセスの時間と内部の仕組みが重要です。
ノートで確認
主記憶の代表がDRAM、CPUキャッシュでよく使われるのがSRAM、SSDで保存を担うのがNANDフラッシュです。これら以外の技術や構成もあります。
3-1 DRAMは小さな電気の貯金箱

図03Aの見方: 行の選択で入口を開き、電荷に対応する小さな変化を読み出します。
代表的なDRAMセルは、一つのトランジスタと一つのコンデンサーで構成します。コンデンサーは電荷を蓄える部品。トランジスタが、そのセルを読み書きする入口になります。行を選ぶワード線と、情報をやり取りするビット線によって、多数のセルの中から対象を選びます。
電荷は少しずつ失われるため、読み取って状態を回復するリフレッシュが必要です。また、読み出しで生じる小さな電圧差をセンスアンプで判定し、状態を戻します。「電気がたまっているから1」というたとえは入口で、実際の符号の割り当てや回路構成は製品によって異なります。
3-2 SRAMは、状態を保つ回路
SRAMは、互いに影響し合う回路のフィードバックで二つの安定状態を作ります。典型的なセルでは6個のトランジスタを使います。通常、電源がある間はDRAMのような周期的リフレッシュを必要としませんが、電源がなくなっても記憶できるという意味ではありません。セルが大きくなりやすいため、大容量の主記憶にはDRAM、小さく速いキャッシュにはSRAMという分担がよく使われます。
3-3 アドレスとメモリ階層

図03Bの見方: 高速で小さい記憶と、大容量の記憶を使い分けます。
アドレスは記憶場所を指定する番号です。一般的なバイトアドレス方式なら、一つのアドレスで1バイトを指定します。「64ビットCPUだから64GBまで」という計算にはなりません。命令やレジスタの幅、実装したアドレス幅、OSや機器の制限を分けて考えます。
レジスタ→キャッシュ→主記憶→ストレージという階層では、おおむね高速で小さいものから、低速でも大きいものへ配置します。最近使った情報をまた使う時間的局所性と、近くの情報を続けて使う空間的局所性が、キャッシュの効き方の手掛かりです。保存先の容量とキャッシュ容量を足して、一つの保存容量にはできません。
3-4 仮想メモリは「SSDをRAMと同じにする魔法」?
仮想メモリは、プログラムが使うアドレスを物理メモリなどへ対応付け、保護や管理を行う仕組みです。必要に応じてページという単位でデータを移し、ストレージ上の領域を利用する場合があります。仮想メモリとページファイルは同じ言葉ではありません。
頻繁な出し入れで待ち時間が増えると、操作が重くなります。ただし、メモリ使用率が高いだけでは問題とは限りません。OSが使い直せるデータをキャッシュしている場合もあります。体感の遅さ、利用可能量、ページングの状態などを合わせて判断します。
3-5 NANDフラッシュは、何を残している?

図03Cの見方: 1セルに詰めるビット数を増やすと、区別する状態数も増えます。
フラッシュは、絶縁された領域などに保持する電荷によって、トランジスタが電流を通し始める条件を変え、情報を区別します。フローティングゲート型やチャージトラップ型などがあり、「電気の箱」は仕組みを簡略化した表現です。
SLCはセルあたり1ビット、MLCという呼び方を2ビットの意味で使う場合、TLCは3ビット、QLCは4ビットです。2ビットなら4状態、3ビットなら8状態、4ビットなら16状態を区別します。多く詰め込むほど電気的状態の判別が細かくなり、速度や耐久性などとの兼ね合いが生まれます。
3-6 SSDはNANDを並べただけではない
書き込みはページ、消去はそれより大きなブロックといった単位で行われます。細部の大きさは製品ごとに異なります。任意の小さな場所を、RAMのように何度でもその場で上書きできるわけではありません。
コントローラーは、OSが指定する論理的な場所を実際のNANDの場所へ対応付けます。不要になった領域の整理、書き込みの偏りをならすウェアレベリング、誤り訂正なども行います。TRIMは、OSが不要な領域を装置へ知らせる仕組みです。削除やTRIMは、一般利用者に確実な復元や即時の物理消去を保証するものではありません。
SSDにも、NANDの種類、制御回路、接続規格、キャッシュの方式などの違いがあります。「NVMe」は主に通信の手順、「M.2」は形状などの規格で、同じ分類ではありません。
3-7 HDDは磁気で記憶する
HDDは回転する円盤の磁化の状態を利用し、ヘッドで読み書きします。目的の場所までの機械的な移動や回転待ちが、小さなデータをあちこち読む作業の負担になります。SSDには同じ機械的な待ちがありませんが、無制限に速いわけではなく、保存メディアの寿命や故障もあります。
3-8 誤り訂正は、何を直せる?
データに冗長な情報を付けると、一定の条件で誤りを検出・訂正できます。例えば偶数パリティは1の個数が偶数になるよう一つのビットを加えます。単一ビットの反転は検出できますが、どの位置かを特定して直す機能まではありません。二つの反転は見逃す場合があります。
ECCは誤り訂正の総称で、検出・訂正できる範囲は符号と実装によります。ECC対応という表示だけで、すべての故障や全データの消失へ対応できるわけではありません。バックアップと役割を分けます。
操作の流れ・今日の実習
タスクマネージャーのメモリ欄で容量と使用状況を観察します。保存先の空き容量はエクスプローラーなどで別に確認します。「作業場所に余裕がある」と「保存場所に空きがある」を区別して記録しましょう。設定変更や大きな負荷をかける操作は不要です。
理解度チェック
出典
Samsung DRAM、MIT Memory Hierarchy、Micron NANDフラッシュ、Microsoft メモリ を参照。次は、0と1で計算する回路の内側へ進みます。
第4章 電気がどうして0と1になり、計算できるの?
この章の到達目標: ビット・単位・加算回路と電気の状態をつなげる。
今日の疑問
回路の中に、印刷された0と1が入っているわけではありません。電圧などの物理的な状態に、0と1という意味を割り当てます。その約束で計算できる仕組みを作るのが、デジタル回路です。
まんが「0と1の通信実験室」


まんがのセリフを読む
ピノキン「電線の中に数字が流れるんですか?」
先生「流れるのは電気。数字は約束なんだ。」
先生「低い範囲を0、高い範囲を1と読む。」
ピノキン「ちょうど一つの電圧だけじゃないんですね。」
先生「トランジスタで電流の流れを制御する。」
ピノキン「小さな門みたい!」
先生「両方が1なら1になるのがAND。」
ピノキン「条件を組み合わせられる!」
ピノキン「0と1だけで、2は?」
先生「桁を増やして10と書くんだ。」
先生「足し算も門の組み合わせでできる。」
ピノキン「繰り上がりまで回路になるんだ!」
ピノキン「bとBは同じ?」
先生「ビットとバイト。大きな違いだよ。」
ピノキン「物理の状態に、数学の約束を重ねるんですね!」
先生「その積み重ねがコンピューターなんだ。」
ここだけ覚える
ビットは二つの状態を区別する情報の単位。電圧の範囲を0と1に対応させ、回路を組み合わせて計算します。
ノートで確認
電圧(記号V、単位もV)は電荷あたりのエネルギー差、電流Iは時間あたりに移動する電荷量、抵抗Rは流れにくさの指標です。抵抗器の基本モデルではV=IR、電力はP=VI。コンデンサーはQ=CVの関係で電荷を蓄えます。Vはボルト、Aはアンペア、Ωはオーム、Wはワット、Fはファラドです。
4-1 なぜ、連続した電気からデジタルになる?

図04Aの見方: 0と1の間に、正常な入力論理値として保証しない範囲があります。
実際の電圧は連続的に変わり、雑音もあります。そこで、ある低い範囲なら0、ある高い範囲なら1と判定し、中間には正常な論理値として保証しない範囲を設けます。しきい値は回路規格や電源電圧によって違い、「すべてのパソコンで0Vと5V」とは言えません。
出力側の電圧が多少揺れても、次の回路が同じ論理値として受け取れる余裕をノイズマージンと呼びます。デジタルは雑音を受けないのではなく、一定の乱れに耐えやすい設計です。速すぎる変化や大きな雑音では誤りも起こります。
4-2 MOSFETは、何を制御する?

図04Bの見方: 入力が変わると、出力を上側または下側へ引く経路が変わります。
MOSFETは、ゲートに加える電圧によって、ソースとドレインの間の電流の流れやすさを変えるトランジスタです。ゲートは絶縁膜を介して電界を作ります。機械的な扉が動くのではありません。半導体は、材料や不純物、構造、電界などを工夫して電気的性質を制御できる物質です。
CMOSではnMOSとpMOSを組み合わせます。単純なNOT回路なら、入力に応じて出力を電源側または接地側へ引き寄せ、論理を反転します。静止時の電力を小さくしやすい方式ですが、切り替え時の充放電や漏れ電流による消費はあります。
4-3 真理値表から回路へ
| A | B | AND | OR | XOR |
|---|---|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 0 | 1 | 1 |
| 1 | 0 | 0 | 1 | 1 |
| 1 | 1 | 1 | 1 | 0 |
ANDは両方が1、ORは少なくとも片方が1、XORは二つが異なるとき1です。NOTは入力を反転します。表は、入力の全組み合わせに対して出力を定義しています。回路を確認する際は、見た目の似た記号に頼らず、この対応を調べます。
4-4 足し算はXORとANDから始まる

図04Cの見方: 二つの入力を、XORとANDへ同時に入れます。
1ビット同士の足し算では、和の下の桁S=A XOR B、繰り上がりC=A AND Bです。1+1の結果は2進数の10なので、S=0、C=1になります。これが半加算器です。
前の桁からの繰り上がりCinも加える全加算器では、S=A XOR B XOR Cin。次の繰り上がりは、AとBの両方が1、またはA XOR BとCinの両方が1のとき1です。全加算器を複数つなぐと多桁の加算ができます。単純につなぐ方式には、繰り上がりが伝わる待ち時間があります。
4-5 2進数と16進数

図04Dの見方: 同じ「1」でも、置かれた桁によって値が違います。
10進数が1、10、100の位を使うように、2進数は1、2、4、8、16……の位を使います。1101₂は8+4+0+1=13₁₀。nビットなら2ⁿ通りを区別できます。4ビットなら16通りで、符号なし整数の範囲は0〜15です。
16進数は0〜9とA〜Fを一桁に使います。4ビットを一桁にまとめられるので、1101 0010₂はD2₁₆です。16進数はデータを短く書く方法であり、CPUが必ず16段階の電圧で計算しているという意味ではありません。
4-6 負の数と小数
8ビットの2の補数表現では、最上位の桁に−128の重みを与え、残りを64、32、16、8、4、2、1と読みます。11111111は−128+127=−1。範囲は−128〜127です。範囲を超えた計算の扱いは、命令や言語の規則によるため、「いつでも自動的に正しい数になる」とは考えません。
2進数で有限桁にできない小数もあります。10進数の0.1は代表例です。浮動小数点数は、符号・指数・仮数部などを使って広い範囲を近似表現します。丸め誤差があるため、計算した小数を単純な完全一致だけで比較すると困る場合があります。整数の誤りではなく、有限の桁数で表す方法の性質です。
4-7 ビット・バイト・接頭語
| 表記 | 量 |
|---|---|
| 1 bit | 二つの状態を区別する1桁分 |
| 1 B | 8 bit |
| 1 kbit | 1,000 bit |
| 1 Mbit | 1,000,000 bit |
| 1 Gbit | 1,000,000,000 bit |
| 1 kB / MB / GB | 1,000 / 1,000,000 / 1,000,000,000 B |
| 1 KiB / MiB / GiB | 1,024 / 1,048,576 / 1,073,741,824 B |
SIのkは小文字です。慣用の「KB」が1,000と1,024のどちらを指すかは表示側の説明を確認します。Mbpsは通常Mbit/s、すなわち毎秒100万ビットの単位です。100 Mbps÷8=12.5 MB/sですが、通信の付加情報などがあるため、そのままファイル転送速度を保証しません。
8ビットの256通りは「256文字」と同じではありません。文字の符号化によって一文字のバイト数が違い、同じ符号位置でも表示に複数の処理が必要な場合があります。
4-8 記憶する回路と半導体の作り方

図04Eの見方: 一度の印刷ではなく、精密な工程を繰り返して素子と配線を作ります。

図04Fの見方: 代表的な加工の一例。レジストの残る位置で下の膜を加工します。
入力だけで出力が決まる組み合わせ回路に対し、前の状態も使うのが順序回路です。フリップフロップは、条件を満たすクロックのタイミングで状態を取り込み保持します。入力が安定している必要のあるセットアップ時間・ホールド時間を守れないと、すぐに0か1へ確定しない状態になることがあります。別のクロック領域との受け渡しにも工夫が必要です。
半導体製造では、シリコンのウエハーに膜を作り、感光材料を塗り、露光と現像で模様を定め、エッチングなどで必要な形を作ります。材料の導入や配線形成を含む多くの工程を重ねます。最後に検査し、切り出してパッケージへ組み込みます。すべてを一度の印刷で完成させるわけではありません。製造プロセス名の「nm」が、あらゆる部分の実寸を一つの数で示しているとも限りません。
4-9 半導体の中で何が動く?
シリコン結晶では原子同士が結合しています。電流に寄与する電子や、電子が抜けた場所の動きを表す正孔をキャリアと呼びます。正孔は正の電荷を持つ粒子のように扱えますが、小さな穴の物体が飛ぶという意味ではありません。
不純物を制御して加えるドーピングにより、電子を多数キャリアとするn型や、正孔を多数キャリアとするp型を作れます。n型全体が必ず負、p型全体が必ず正に帯電しているという意味ではありません。
p型とn型の接合では、キャリアの拡散などで空乏層と電位の障壁が生まれます。加える電圧の方向で電流の流れやすさが変わる性質をダイオードに利用します。MOSFETでは、絶縁膜を隔てたゲートの電界によって電流経路の状態を制御します。実際の微細素子の三次元構造や量子効果の設計は、さらに専門的な領域です。
4-10 結果が安定する前に読まない
組み合わせ回路にも伝搬遅延があります。クロック周期を短くしすぎると、前の回路の結果が安定する前に次の記憶回路が値を取ってしまいます。長い経路の遅延、配線、記憶回路の条件などを合わせて設計します。
全加算器の全入力を確かめます。Sは和の下位桁、Coutは繰り上がりです。
| A | B | Cin | S | Cout |
|---|---|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 0 | 0 | 1 | 1 | 0 |
| 0 | 1 | 0 | 1 | 0 |
| 0 | 1 | 1 | 0 | 1 |
| 1 | 0 | 0 | 1 | 0 |
| 1 | 0 | 1 | 0 | 1 |
| 1 | 1 | 0 | 0 | 1 |
| 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
操作の流れ・今日の実習
紙に四つの枠を描き、左から8、4、2、1と書きます。0〜15をカードで作り、13=1101を確かめます。次に真理値表を使い、1+1と1+0の和と繰り上がりを出します。電源や部品の配線実験は、この入門実習では行いません。
理解度チェック
出典
NIST Binary prefixes、MIT CMOS Technology、ASML How microchips are made。
第5章 画面はどうして文字や写真を映せるの?
この章の到達目標: RGB・液晶の構造・製造と表示信号をつなげる。
今日の疑問
ディスプレイを拡大すると、小さな点が並んでいます。その点はどう色を変えるのでしょう。液晶とは何で、どのように作るのでしょう。データ、光、人間の目の三つをつなげて考えます。
まんが「光の美術館へようこそ」


まんがのセリフを読む
ピノキン「どうして、こんなに多くの色が?」
先生「小さな点と光の強さを見よう。」
先生「典型的な画素には赤・緑・青の部分がある。」
ピノキン「三色の小さな窓!」
ピノキン「光を重ねたら明るくなった!」
先生「絵の具を混ぜる場合とは違うんだ。」
先生「液晶は、通す光を調節する。」
ピノキン「自分で光るわけではないんですね。」
先生「電圧で分子の向きが変わる。」
ピノキン「光の通り方が変わるんだ!」
ピノキン「点の一つ一つをどう動かすの?」
先生「TFTなどの回路で制御するよ。」
ピノキン「映像は、いつ入れ替わる?」
先生「画面を更新するタイミングも大切だ。」
ピノキン「数字が光になって、目へ届くんですね!」
先生「目の感じ方まで含めて色になるんだ。」
ここだけ覚える
画面表示は、画素ごとの光の量や色を制御することで生まれます。液晶方式では主にバックライトの光を調節し、有機ELでは発光する部分を制御します。
ノートで確認
画素は画像や表示の位置の単位、サブピクセルはその中で色などを担当する部分、解像度は画素の並びの数、リフレッシュレートは画面更新の頻度です。液晶のすべてが同じRGB縦縞配列とは限らず、有機ELにもさまざまな配列や色の作り方があります。
5-1 RGBで色ができる理由
目には、波長への反応が異なる主に三種類の錐体があります。ディスプレイは赤・緑・青の光の強さを組み合わせ、その反応の比率を変えて多くの色を感じさせます。赤と緑の光を適切に重ねると黄色に見えます。黄色の単一波長の光そのものを新たに作った、という意味ではありません。
絵の具や印刷は、光を吸収・反射する性質を組み合わせます。RGBの加法混色と、インクなどの減法混色を同じ規則で計算しません。またRGBで表せる範囲には限界があり、実物のすべての色を再現できるわけではありません。観察する照明や画面の特性でも見え方が変わります。
5-2 256段階が三つなら何色?

図05Aの見方: 画素内の成分を別々に制御して、多くの色を表します。
各成分8ビットなら0〜255の256段階。組み合わせ数は256³=16,777,216通りです。これは符号の組み合わせ数で、全色を人が等間隔に見分けられるという保証でも、パネルが完全に再現する色数の保証でもありません。
RGBの数値が同じでも、色空間や画面の特性が違えば物理的な色が同じとは限りません。sRGBなどの規則、色管理、ガンマや伝達関数が必要です。符号値128は255の約半分ですが、放出する光の強さが必ず半分ではありません。色を正確に混ぜる計算では、符号値と光の量の関係を考えます。
5-3 液晶は液体? 固体?

図05Bの見方: 典型的なノーマリーホワイトTNの概念。分子が黒い板になるのではありません。
液晶は、流れる性質を持ちながら、分子の向きなどに一定の秩序がある状態です。表示に使う液晶材料は、向きによって光に対する性質が異なります。電界を加えて分子の配向を変えると、通過する光の偏光状態などが変わります。
偏光板は、特定の方向の偏光成分を通しやすい部材です。液晶層と偏光板を組み合わせると、分子の向きの変化を、外へ出る明るさの変化として利用できます。「分子がそのまま黒い板になって遮る」という仕組みではありません。
5-4 液晶ディスプレイの層を追う

図05Fの見方: 透過型アクティブマトリックス液晶の代表的な構成を簡略化しています。
代表的な透過型液晶では、LEDバックライト、導光板や拡散・光学シート、偏光板、TFTと電極を形成したガラス基板、配向膜、液晶層、カラーフィルター側の基板、偏光板などを組み合わせます。実際の層の順序や構成は方式によって異なります。
RGBのフィルターは、通す光の波長の範囲を選びます。液晶側でその部分を通る光量を調節すると、RGBそれぞれの強さを変えられます。一般に「LEDモニター」と呼ばれる製品でも、LEDバックライトを使う液晶である場合があります。LEDと液晶が必ず対立する分類ではありません。
5-5 何百万もの点へ、どう電圧をかける?

図05Cの見方: 行を選び、列の電圧を書き込み、容量に状態を保ちます。
アクティブマトリックス方式では、薄膜トランジスタTFTなどを基板上に作り、行を選び、列から各部分の電圧を書き込みます。電荷を保持する容量を利用して、次の書き換えまで状態を保ちます。各点にパソコン本体から一本ずつ専用のケーブルが来るわけではありません。
液晶には長時間の直流成分による劣化などを避けるため、駆動電圧の極性を切り替える工夫があります。単に「明るさの数値と同じ電圧を永久にかける」とは考えません。
TN、IPS、VAは、分子の配向や動かし方などが異なる方式です。見やすい角度、コントラスト、応答などに影響しますが、方式名だけですべての製品の優劣は決められません。
5-6 液晶パネルは、どう作る?

図05Dの見方: 二つの基板と薄い隙間を精密に整えます。
ガラス基板上に薄膜を形成し、露光・現像・エッチングなどでTFTや配線・電極のパターンを作ります。別側には、代表例としてRGBの着色材料の模様と、光漏れや混色を抑えるブラックマトリクスなどを作ります。
液晶分子の向きを整える配向膜を形成・処理し、スペーサーで非常に薄い隙間を保ち、基板を貼り合わせて液晶を封入します。その後、封止、切断、検査、偏光板や駆動回路、バックライトなどの組み付けを進めます。液晶の滴下・貼り合わせ方や工程順には製法の違いがあります。精密さが必要なのは、画素の細かさだけでなく、隙間や膜厚のばらつきも表示に影響するためです。
5-7 有機EL・黒・残像
有機ELは有機材料を使う発光素子で、通電によって光を出します。画素単位で発光を抑えられる構成は暗い黒を出しやすい一方、劣化や長時間の表示履歴に伴うムラなど、別の課題があります。RGB素子を直接発光させる方式だけでなく、カラーフィルターや波長変換を組み合わせる構成もあります。
液晶は光を完全に遮れないため黒浮きが生じる場合があります。バックライトの局所制御などで改善を狙う方法もあります。残像や動きのぼやけには、液晶の応答だけでなく、表示を保持する時間、目の追従、更新頻度などが関係します。
5-8 GPUから映像信号へ

図05Eの見方: 文字の符号と、画面の画素データと、物理的な光は別です。
アプリが作りたい画面を指定すると、CPUやGPUが処理し、表示用のバッファーなどへ画素の値を用意します。表示回路はそれを決められたタイミングで読み出し、HDMIやDisplayPortなどの規則で送ります。受信側は信号を解釈し、パネルを駆動します。文字の場合、フォントの輪郭を画素へ変えるラスタライズや、縁を滑らかに見せる処理なども関係します。
1920×1080は約207万画素。RGB各8ビットの1枚分を余分な領域なしで並べると、1920×1080×3=6,220,800 Bです。毎秒60枚なら373,248,000 B/sですが、これは有効画素の非圧縮データの単純計算です。実際の映像回線には符号化や制御の負担などがあり、この数値がケーブル規格の必要速度そのものではありません。
60 Hzは約16.7 msごとの更新です。ゲームなどが新しい画像を作るfps、パネルが更新するHz、色が変化する応答時間ms、入力から見えるまでの遅延は別々の指標です。表示倍率150%にしても、パネル自体の物理的な画素数が1.5倍になるわけではありません。
5-9 符号値128は、光の半分?
8ビットsRGBの128を0〜1に直すとc=128/255です。標準のsRGBの変換では、cが0.04045より大きい範囲で、線形光の相対値L=((c+0.055)/1.055)^2.4とします。この場合はL≒0.216で、約21.6%です。小さい範囲ではL=c/12.92を使います。
これは一成分の符号値と線形光の対応で、実ディスプレイの絶対輝度や、人が感じる明るさを直接示す数字ではありません。実機の白レベルや黒レベル、校正なども関係します。RGBの値を平均する処理と、物理的な光を混ぜる処理を区別する理由が見えてきます。
操作の流れ・今日の実習
スマートフォンのカメラなどで画面を拡大して、サブピクセルの模様を観察します。無理に強い光を見続けず、見えなければ用意された拡大写真を使います。次にRGB各値を変えられる学習用ツールで、赤・緑・青・黄・白・黒を作ります。写真の点は撮影時のモアレやカメラの処理も含むため、測色結果とは考えません。
理解度チェック
出典
キヤノン テレビと液晶、エプソン LCDモジュール、TOPPAN 電子材料資料、京セラ 液晶構造。 W3C CSS Color 4:sRGBの定義と変換
第6章 音・写真・動画はどうやって数字になるの?
この章の到達目標: 音と光の標本化・量子化・圧縮を区別する。
今日の疑問
音は空気の振動、写真は光を受けた記録です。どちらも、そのまま数字ではありません。物理的な変化を電気の信号へ変え、その信号を数値として記録します。大学の放送スタジオと写真研究室で、その間をたどりましょう。
まんが「ピノキン、学園放送に挑戦!」


まんがのセリフを読む
ピノキン「声が、どうしてパソコンに入るんですか?」
先生「まず空気の振動を電気の変化へ変えるんだ。」
ピノキン「小さな膜があります!」
先生「声で振動する部分を使うんだよ。」
先生「変化を一定の間隔で測ろう。」
ピノキン「波に目盛りを付ける感じですね!」
ピノキン「細かい値はどう書くの?」
先生「用意した段階のどれに近いかを決めるんだ。」
ピノキン「写真も数字へ?」
先生「光を受けた場所ごとの信号を変えるんだよ。」
ピノキン「小さな受け皿がいっぱい!」
先生「光で生じた電荷などを読み取る。」
ピノキン「少しずつ違う写真!」
先生「時間順に表示すると動く映像として見えるんだ。」
ピノキン「声も景色も、測って数字にするんですね!」
先生「何をどこまで記録できたかも大切だよ。」
ここだけ覚える
連続した信号を、一定の間隔で測り、限られた段階の数字で表す。時間の区切りと、値の細かさを区別しましょう。
ノートで確認
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 標本化 | 時間や位置を区切って、値を取り出すこと |
| 量子化 | 値を有限の段階へ対応させること |
| 符号化 | 数値などをビット列で表すこと |
| ADC / DAC | アナログからデジタル/デジタルからアナログへの変換回路 |
| 標本化周波数 | 1秒間に何回、標本を取るか |
| ビット深度 | 標本などの値を表すビット数 |
| フレーム | 動画を構成する一時点の画像 |
| コーデック | 音声・映像の符号化・復号の方式や実装 |
6-1 音は、空気が遠くまで移動すること?
音が伝わるとき、空気の圧力や密度の変化が周囲へ伝わります。空気の各部分は近くで振動しながら、隣へ変化を伝えます。スピーカー前の同じ空気が、そのまま耳まで走ってくるわけではありません。
普通の空気中の音は、主に進行方向に圧縮と膨張が起こる縦波です。単純な周期的な音では、1秒間の振動回数が多いほど高い音として感じられます。圧力変化の振幅は大きさに関係しますが、人の感じ方は周波数や条件にも左右されます。周波数と振幅は別です。
6-2 マイクはどうして電気を作れる?

図06Aの見方: 標本化・量子化の前後に、物理的な変換回路があります。
ダイナミック型の代表例では、振動板につながったコイルが磁界中で動き、電磁誘導で電圧が生じます。コンデンサー型では、膜と対向電極などで作った静電容量の変化を利用します。電荷や電圧を与える方法、増幅回路の構成には種類があります。
どちらも、声の意味を理解しているわけではありません。振動や圧力変化を信号にしています。小さな信号は、必要に応じて増幅し、不要な周波数をフィルターなどで抑えてADCへ送ります。
6-3 波をどうやって数字にする?

図06Bの見方: 波形は同じでも、測る間隔が違うと得られる標本が変わります。

図06Cの見方: 同じ測定値を、有限の段階へ丸めます。
48 kHzなら、毎秒48,000個の標本を取ります。間隔は1÷48,000秒≒20.8 µs。µsはマイクロ秒で、100万分の1秒です。これは時間方向の細かさです。
16ビットなら2¹⁶=65,536通り。入力範囲を有限の段階へ対応させ、間の値を規則に従って置き換えます。この差が量子化誤差です。ADCの理想的な段階幅をフルスケール範囲÷2ⁿと近似する場合、端点や符号の定義もそろえます。
標本化周波数を上げることと、ビット深度を増やすことは別の操作です。実機では、回路の雑音やひずみがあるため、ビット数どおりの有効な精度を得られるとは限りません。
6-4 たくさん測れば何でも記録できる?
標本から異なる周波数を区別できなくなるのがエイリアシングです。車輪が逆回転して見える現象は、一定間隔で観察する問題のたとえになります。
基本的な低域信号を扱う標本化では、信号を含む最高周波数の2倍を超える標本化周波数が必要です。帯域を制限した信号と理想的な再構成などを前提にする条件で、すべての通信方式へそのまま当てはめる規則ではありません。
実際には、ADCより前で不要な高周波を抑えるアンチエイリアシングフィルターと、その切り替わりの余裕が必要です。48 kHzなら24 kHzまで何でも完全に記録できる、とは言えません。
6-5 音が割れるのはなぜ?
入力が回路の扱える範囲を超えると、上下が上限・下限に張り付くようになる場合があります。クリッピングです。波形が変わり、歪みが生じます。後から音量を下げても、失われた波形が確実に戻るわけではありません。
入力が小さすぎれば、後で大きくしたときに雑音も目立つ場合があります。量子化の段階数と適切な入力レベルは、別に考えます。
6-6 スピーカーは数字を直接鳴らす?
保存データを読み、圧縮されていれば復号し、DACなどで信号を作り、フィルターや増幅回路を経てスピーカーを動かします。代表的な動電型では、コイルの電流と磁界の働きで振動板を動かします。
説明図でDAC出力を階段として描いても、その角がそのまま耳へ届くという意味ではありません。出力回路と再構成のためのフィルターなどが関係します。
6-7 写真では光をどのように測る?
レンズが光を撮像素子へ導き、各受光部で光によって生じた電荷などを利用します。CMOS撮像素子は、フォトダイオードと読み出し・増幅などの回路を組み合わせます。露光時間と光の強さなどが信号に関係します。
露光が長ければ光を多く集められますが、動きが重なってぶれる場合があります。短くすれば動きを止めやすくなりますが、十分な信号を得る条件が必要です。ISOを上げるだけで入射光子数が増えるわけではなく、増幅や出力の扱いなどが変わります。
一度に全画面の同じ時刻を記録する方式と、行ごとに時刻がずれるローリングシャッターなどを区別します。後者では速い動きが斜めにゆがむ場合があります。短い露光時間にすれば、読み出しの時刻差も必ず消えるという意味ではありません。
6-8 各受光部がRGB全部を測る?

図06Dの見方: 各受光部では一つの色成分を測り、周囲の値から他成分を推定します。
代表的なベイヤー配列では2×2の基本配置に赤1、青1、緑2のフィルターがあります。一つの場所で全色を直接測るのではなく、周囲の値を使って必要な成分を推定するデモザイクなどを行います。
ホワイトバランス、雑音低減、色変換、階調調整も関係します。RAWは撮像素子の測定に近い情報などを保持しますが、完全な無加工を意味するとは限らず、内容は形式や機種によります。JPEGは表示・共有しやすい画像へ処理し、圧縮して保存する代表的な形式です。
6-9 写真はなぜ小さくできる?
近くの画素が似た値を持つなどの規則性を利用します。可逆圧縮は復号すれば同じデータへ戻せますが、どんなデータでも必ず小さくなるわけではありません。
非可逆圧縮では情報の一部を捨てるなどして小さくします。一般的なJPEGでは空間周波数に相当する表現への変換、量子化などを使います。細部の損失や輪郭付近の模様が出る場合があり、非可逆の再保存を重ねれば劣化が積み重なることがあります。
6-10 動画は写真を並べるだけ?

図06Eの見方: 前後の関係を使う動画圧縮の入口。実コーデックはさらに多くの処理を行います。
前後の画像の似た部分や動きも利用して、効率よく表現します。単に動いた点だけを保存する方式ではなく、予測と予測との差、変換、量子化などを組み合わせます。
MP4などは映像・音声・時刻などをまとめる入れ物であるコンテナーです。どう圧縮するかというコーデックとは別。拡張子が同じでも、機器が中身のコーデックに対応しないと再生できない場合があります。
数字で確かめよう
| 対象と前提 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| PCM音声、48 kHz・16 bit・2チャンネル・60秒 | 48,000×16×2×60÷8 | 11,520,000 B=11.52 MB |
| 6000×4000画素・RGB各8 bit・非圧縮 | 6000×4000×3 | 72,000,000 B=72 MB |
| 1920×1080・RGB各8 bit・30枚/秒・60秒 | 1920×1080×3×30×60 | 11,197,440,000 B≒11.20 GB |
ファイルの管理情報、余白、圧縮などを含まない単純計算です。RAW、JPEG、動画ファイルがこのサイズになるという意味ではありません。
よくある誤解
標本化周波数は音量ではありません。画素数だけで画質は決まりません。圧縮には可逆と非可逆があります。fpsと画面のHzは別。拡張子の名前変更だけではデータ形式は変換されません。
操作の流れ・今日の実習
録音アプリで普通の声と小さな声を短く録音し、波形表示があれば比べます。アプリが表示を自動拡大する場合、見た目の高さだけで録音レベルを判断しません。大声や大音量の実験は不要です。
写真のコピーを使い、画素数とファイルサイズを記録してから縮小した別のコピーを作り、比べます。元を上書きせず、圧縮設定の違いも記録します。
理解度チェック
出典
TI ADC学習シリーズ、TI アンチエイリアシング、Canon CMOS Sensors、Sony ローリングシャッター。
第7章 キーボードやUSBはどうやって情報を伝えるの?
この章の到達目標: 入力検出からUSB認識・DMAまでを追う。
今日の疑問
たくさんのキーが、一本のケーブルでつながっています。パソコンはどのキーかをどう知るのでしょう。マウスを挿すと、なぜ使えるのでしょう。操作を情報に変え、約束に従って送る道筋を、実験工房で学びます。
まんが「一本のケーブルで、どうしてわかる?」


まんがのセリフを読む
ピノキン「キーは多いのに線は一本!」
先生「どのキーかを表す情報にして送るんだ。」
先生「行と列を順に調べる。」
ピノキン「座席表みたいですね!」
ピノキン「一度押したのに何度も揺れています!」
先生「跳ね返りを処理で落ち着かせるんだ。」
ピノキン「車輪がありません!」
先生「表面の模様から、動いた量を調べる方式だよ。」
ピノキン「指の重さを測るの?」
先生「静電容量の変化を使う方式もある。」
ピノキン「マウスだとわかった!」
先生「装置の情報を問い合わせているんだ。」
ピノキン「同じ形なら同じ性能?」
先生「形と通信・充電の能力は別に見よう。」
ピノキン「つなぐだけの裏にも約束が!」
先生「違う装置が協力するための約束なんだ。」
ここだけ覚える
操作や測定結果を情報に変え、通信手順に従って伝えます。端子の形だけでは、速度・映像・給電の能力は決まりません。
ノートで確認
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| コントローラー | 装置や通信の動きを管理する回路 |
| 走査・スキャン | 場所などを順に選んで調べること |
| チャタリング | 接点が短時間に接触・離反を繰り返す現象 |
| プロトコル | 情報の形式や、やり取りの手順 |
| ドライバー | OSが装置を操作するためのソフトウェア |
| 割り込み | CPUへ処理すべき出来事などを知らせる仕組み |
| DMA | CPUがデータを一つずつ運ぶ負担を減らす転送の仕組み |
7-1 キーボードはどこを押したかを調べる

図07Aの見方: 一行ずつ選び、列の状態から押された交点を調べます。
代表的なキーマトリクスは、スイッチを行と列の交点に置きます。4行×4列なら16か所。行を選んで列側を読み、次の行へ移る走査を繰り返します。配線を共有して回路の端子数を減らせます。
複数キーを押すと別の電流経路ができ、押していない場所を押されたように検出するゴーストの問題が起こり得ます。ダイオードや検出方法の工夫などで対策します。どれだけ同時入力を扱えるかというロールオーバー性能とも関係します。すべてのキーボードが同じ接点方式ではありません。
7-2 一度押したのに何回も反応する?

図07Bの見方: 細かな跳ね返りを全部入力として数えないよう処理します。
機械的な接点は、触れた直後に跳ね返ることがあります。その変化を全部操作として扱わず、一定時間の安定を確認するなどのデバウンス処理をします。待ちすぎれば反応が遅くなるので、誤検出と応答の兼ね合いを考えます。
押し続けて文字が繰り返されるキーリピートは通常の機能で、チャタリングとは区別します。
7-3 キーは文字コードを直接送る?
一般的なUSBキーボードは、押されたキーなどを表す情報を送ります。OSやアプリが配列、Shiftなどの修飾キー、IMEの状態と組み合わせて解釈します。キー情報、文字の符号、表示する字形は別段階です。
ローマ字入力のk・aから「か」が出るのは、入力方式の処理があるためです。キーボードに日本語の文章変換のすべてが入っているわけではありません。
7-4 マウスは画面の位置を見ている?
代表的な光学式は光源とセンサーで表面の模様を短い間隔で読み、ずれを推定します。通常は相対移動量を送り、パソコンがポインター位置を更新します。速度や加速の設定で、手と画面の移動量の関係も変わります。
ガラスなどで特徴を捉えにくい場合や、反射条件が合わない場合があります。光を使うからどんな表面でも正確、ではありません。対応する表面は方式によります。
7-5 指の重さを測る?
投影型静電容量方式では透明な電極を配置し、指が近づくなどした際の電気的な結び付きの変化を調べ、位置を推定します。圧力を測ることが基本ではありません。手袋の材質や厚み、水滴などが影響する場合があります。
押して膜同士が接触する抵抗膜方式もあります。タッチパネルという名前が同じでも、すべて同じ検出原理ではありません。ペンも方式への対応が必要です。
7-6 USBを挿すと最初に何が起きる?

図07Cの見方: 追加ソフトなしで動いても、OS内のドライバーなどが働いています。
接続を検出し、初期化し、装置の情報を問い合わせ、構成や機能を確認し、ドライバーなどを用意して利用する構成を選びます。装置を認識して使える状態へ整える過程が列挙・エニュメレーションです。種類や構成などを記す情報がディスクリプターです。
標準的な装置クラスには、OSに共通ドライバーが用意されることがあります。キーボード・マウスではHIDが一般的です。追加ソフトなしで基本機能が動いても、ドライバーが存在しないわけではありません。特殊な機能にはメーカーのソフトが必要な場合もあります。
7-7 一本の接続で、通信をどう区別する?
データは種類、対象、長さ、誤りの確認情報などを伴う形式で扱います。具体的な構成は方式により異なります。USBでは装置内の論理的な通信口をエンドポイントとして扱い、ホスト側が通信を管理します。
| 転送方式 | 主な考え方 |
|---|---|
| コントロール | 設定や装置の制御など |
| バルク | 空いている帯域などを使い、大きなデータを転送 |
| インタラプト | 定期的に扱いたい小さな情報など |
| アイソクロナス | 時間の連続性を重視する音声・映像など |
USBのインタラプト転送は、機器がCPUの割り込み線を直接引く意味ではありません。アイソクロナスも無誤りを保証する意味ではなく、同じような遅い再送より時刻を優先したい場面に適します。
7-8 USB-Cなら全部できる?
USB-Cはコネクターの形や接続の仕組みに関わる規格です。同じ形でもデータ速度、給電、映像出力などが違います。パソコン、接続する装置、ケーブル・変換器のすべてを確認します。
対応すればDisplayPort Alternate Modeなどで映像を送れますが、形だけでは断定できません。USB Power Deliveryなどでは電源と装置が条件をやり取りし、必要な電力を規則に従って供給します。大きいW数を常に相手へ押し込むわけではなく、ケーブルの能力も関係します。
7-9 CPUは一バイトずつ運ぶ?

図07Dの見方: CPU・OSの準備と管理の下で、コントローラーが転送を進めます。
DMAでは、CPUやOSが準備した転送先などに従って、コントローラーがメモリとの転送を進めます。CPUの負担を減らしますが、OSによる管理、メモリ保護、アドレス設定、キャッシュとの整合性などは必要です。
完了や出来事を割り込みなどで知らせる方法と、状態を繰り返し調べるポーリングがあります。頻度、処理量、待ち時間などで適した方法が変わります。
7-10 PCIeとUSBは同じ?
PCIeはGPUやNVMe SSDなどの接続にも使います。USBとは用途、構造、手順などが違います。レーンをまとめた接続幅を×1、×4、×16などと表します。
長いスロットでも実際に配線されたレーンが少ない場合があります。世代、接続幅、接続先、装置の能力を合わせて判断します。形の大きさだけでは通信性能はわかりません。
7-11 プリンターは画面の絵を移す?
OS、ドライバー、プリンター内部などで印刷できるデータへ変換します。インクジェットは小さな滴を必要な場所へ飛ばし、圧電素子や加熱した気泡などを利用する方式があります。電子写真方式は感光体の電気的状態を光で変え、トナーを付着・転写し、熱や圧力などで定着します。レーザーで紙を直接焦がす仕組みではありません。
画面の発光と、紙の吸収・反射は異なり、色域、紙、照明などで見え方も変わります。第5章の混色の説明へ戻って確かめましょう。
7-12 高速の信号は、一本の理想の線ではない
シリアル通信は、情報を時間順に送ります。複数のレーンをまとめる方式もあるため、シリアルだから線が必ず一本、とは限りません。差動信号では二本の電圧の差などを利用します。両方へ同様に加わる雑音に対処しやすい設計にできますが、すべての雑音が消えるわけではありません。
高速になるほど、送受信のタイミング、配線の特性、反射、ケーブルの損失が重要になります。端子が刺さっただけで規格上の最高速度が保証されないのは、通信が機械的な形と電気的な条件の両方で成り立つためです。
数字で確かめよう
480 Mbit/s÷8=60 MB/s。これはビットからバイトへの換算で、実際のファイル転送速度ではありません。通信の付加情報、制御、符号化、待ち、装置の速度などが関係します。
入力の遅れには、検出→入力処理→通信→OS・アプリ→描画→画面更新の複数段階があります。通信だけを速くしても、ほかの待ちは残ります。
操作の流れ・今日の実習
メモ帳などの練習欄で、同じキーを通常・Shiftあり・日本語入力の状態で押し、物理的なキーと入力結果を分けて記録します。パスワード欄では行いません。
取扱説明書でUSB端子の形・速度・映像・給電を別々に調べ、ケーブルの仕様とも比べます。不明は不明と記録し、色や形で推測しません。端子へ金属を入れたり、無理に挿したりしません。
理解度チェック
出典
USB-IF HID、USB-IF Cables and Connectors、USB Power Delivery、Microsoft USB-C FAQ、VESA DisplayPort FAQ。
第8章 Wi-Fiやインターネットはどうやって届くの?
この章の到達目標: 物理信号と通信規則、速度と遅延を区別する。
今日の疑問
遠くの動画が線をつながなくても映ります。写真や文字がそのまま空中を飛ぶのでしょうか。実際にはデータを電気・光・電波の変化として送り、受信側が規則に従って読み取ります。大学の通信研究室から世界へ出かけましょう。
まんが「ピノキンの動画は、どこを通る?」


まんがのセリフを読む
ピノキン「線がないのに動画が!」
先生「近くのアクセスポイントと電波で通信しているんだ。」
ピノキン「電波の中に0と1が?」
先生「波の変化に情報を対応させる。」
先生「小さなまとまりに分けて扱う。」
ピノキン「小包みたいですね!」
先生「ルーターは宛先を見て次の道を選ぶ。」
ピノキン「一台で世界全部を知るわけじゃないんだ。」
ピノキン「サイト名だけでどう探すの?」
先生「DNSなどで接続先情報を調べる。」
ピノキン「一つ足りません!」
先生「必要に応じて再送や順序整理をする仕組みがあるよ。」
ピノキン「電波は強いのに遅い!」
先生「混雑やその先の回線も見よう。」
ピノキン「たくさんの装置が協力している!」
先生「速さだけでなく待ち時間も大切だよ。」
ここだけ覚える
物理的な信号と、宛先・手順の約束の両方が必要です。Wi-Fi接続とインターネット接続は別です。
ノートで確認
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| アクセスポイント | 無線端末をLANへ接続する役割の装置 |
| パケット | 宛先などの情報を伴うデータのまとまり |
| IPアドレス | IP通信で接続先などを識別するアドレス |
| ルーター | IPパケットを別のネットワークへ中継する装置 |
| DNS | ドメイン名に対応する情報を調べる仕組み |
| スループット | 実際に一定時間で転送・処理できた量 |
| 遅延 | 届くまで、応答が返るまでなどの時間 |
8-1 電線・光・電波は何を運ぶ?
電線では電圧・電流の変化を送ります。高速通信では多段階の状態や符号化を使う場合もあります。抵抗・容量・インダクタンスなどにより信号は弱まり、形が崩れ、反射するため、長さや接続品質が重要です。
光ファイバーでは光を変化させ、受光側で電気信号へ戻します。中心と周囲の屈折率などを工夫して光を導きます。減衰や分散があり、無限に届くわけではありません。
無線では電磁波をアンテナで送受信します。空気の圧力波である音と異なり、電磁波は真空中も伝わります。普通の銅線を使う通信も、電子が端から端まで走る速度だけで説明するのではなく、電磁的な信号の伝わりを考えます。
8-2 波に情報を乗せる

図08Dの見方: 0と1で搬送波の位相を反転させる、二相位相変調の模式例。
振幅・周波数・位相などを変え、情報へ対応させるのが変調です。位相は周期的な波の進み具合です。受信側は基準と比較するなどして状態を判定します。
16状態を区別できるなら、一状態でlog₂16=4ビットを表せます。ただし細かく分けるほど雑音などで取り違えやすくなり、状態数だけでは実効速度を決められません。符号化の負担や誤り訂正も関係します。
5 GHzは電波の周波数で、5 Gbit/sではありません。速度には、利用できる周波数幅、変調、雑音、アンテナ構成、通信規則などが関係します。
8-3 帯域幅と通信容量
信号の帯域幅は周波数範囲の幅をHzで表します。一方、通信サービスなどがbit/sの能力を「帯域」と呼ぶこともあり、文脈を区別します。
帯域幅Bの、加法性白色ガウス雑音を持つ理想化した通信路では、C=B log₂(1+S/N)という容量の関係を考えます。BはHz、S/Nは倍率、Cはbit/sです。S/Nがデシベル表示なら、その値をそのまま代入しません。S/N=10^(dB値/10)へ直します。
説明用にB=1 MHz、S/N=15ならC=1,000,000×log₂16=4 Mbit/sです。これは条件付きの理論上限で、Wi-Fi製品の速度を直接保証する計算ではありません。
8-4 Wi-Fiは通信路を共有する
同じ通信路を使う周囲の装置と、送るタイミングや資源を分け合います。方式によって調整方法は異なります。壁、距離、反射、干渉、アンテナも影響します。電波表示が強くても混雑すれば遅くなることがあります。
家庭用Wi-Fiルーターは、アクセスポイント・ルーター・スイッチなどを一つの箱にまとめている場合があります。箱と機能を混同しません。
8-5 データはどう包まれる?

図08Aの見方: 上位の情報に、下位の層が必要とする情報を加えます。
アプリの規則、TCP・UDPなど、IP、Ethernet・Wi-Fiなど、物理信号という役割分担があります。上位の情報を下位の形式で包むカプセル化を行い、受信側で対応する情報を取り出します。暗号化なども組み合わされます。
層の境界で単位が必ず一対一になるとは限りません。アプリの一つのメッセージが、複数のTCPセグメントやIPパケットに分かれる場合があります。「一つの文章=一つのパケット」という固定の対応ではありません。
8-6 MAC・IPとルーター

図08Bの見方: リンクごとの宛先と、IPで扱う宛先を区別します。
MACアドレスはEthernet・Wi-Fiなどのリンク上で使われ、IPアドレスはIPネットワークで接続先の識別や中継に使われます。IPは接続先によって変わることがあり、MACも必ず永久固定とは限りません。
ルーターは宛先IPと経路表などで次の送り先を選びます。各リンクの宛先などは中継に応じて変わり、遠いサーバーのMACを付けたまま世界中を進むというものではありません。IPv4は32ビット、IPv6は128ビットのアドレスを使いますが、すべての組み合わせを自由に端末へ割り当てられるわけではありません。
8-7 サイト名から接続先へ
DNSはドメイン名に対応する情報を分散して管理します。リゾルバーは必要に応じてサーバーをたどり、キャッシュを条件や有効期間に従って利用します。毎回最初から全サーバーへ問い合わせるとは限りません。
一つの名前に複数の接続先が対応する場合もあり、IP以外の情報も扱います。Wi-FiはつながるのにWebが開かないとき、DNSを含むその先の処理も候補になります。
8-8 届かなかったらどうする?
IPだけで到達や順序を保証するわけではありません。TCPは順序のあるバイト列として転送し、順序番号、受信確認、再送、流量制御、輻輳制御などを使います。永久の切断でも必ず届ける保証ではありません。
UDPはデータグラムを送ります。UDP自体にTCPと同じ再送・順序整理はありませんが、上位が必要な機能を実装する場合があります。UDP利用ならすべて信頼性がない、とは限りません。
チェックサム・CRCなどの誤り検出と、暗号による認証・改ざんの検証は別です。偶発的な変化を調べる仕組みだけで、悪意ある改変を防げるとは限りません。
8-9 速いのに反応が遅い?

図08Cの見方: 送出・伝搬・待ち行列・処理の時間を分けます。
遅延には、距離を進む伝搬、ビットを回線へ送り出す時間、混雑の待ち行列、装置やサーバーの処理があります。送出時間はデータ量bit÷速度bit/sです。1,500 Bを100 Mbit/sで送り出すだけなら0.12 msで、相手までの往復時間ではありません。
オンライン会議では遅延の変動であるジッターや損失も重要です。先をためるバッファーは途切れを抑えますが、待ち時間を増やす場合もあります。大量に運べることと、一つが早く届くことを分けます。
8-10 冗長な情報を付ける理由
誤り訂正では、余分なビットを使って一定範囲の誤りを直せるようにします。再送を減らせる場合がある一方、送る量や計算も増えます。CRCなどによる偶発的誤りの検出、訂正符号、再送は、役割を分けて組み合わせます。
HTTPSで使われるTLSなどは、暗号化や相手の認証、改ざんの検証を担います。TCPの再送とは別の役割です。暗号化された通信でも接続先そのものが悪意ある場合などは残るため、鍵のマークだけですべて安全と判断しません。
操作の流れ・今日の実習
同じ端末、同じ測定先、近い条件で場所や時間を変え、下り・上り・応答時間を別々に記録します。ほかの利用状況もメモします。測定先や回線の先も含むため、一回の数字で無線機器の性能を断定しません。設定変更は不要です。
理解度チェック
出典
IETF TCP RFC 9293、IPv6 RFC 8200、DNS RFC 1034、UDP RFC 768、UDP Usage RFC 8085。
第9章 電源・冷却・起動はどう動いているの?
この章の到達目標: 電源・熱・電池・起動を段階で説明する。
今日の疑問
CPUは小さいのに、なぜ冷却器は大きいのでしょう。Windowsが動く前に、誰がWindowsを読み込むのでしょう。エネルギーと最初の命令の道筋を調べます。
まんが「真夜中の大学校、起動せよ!」


まんがのセリフを読む
ピノキン「最初に誰が働くの?」
先生「電力と回路の準備が必要だよ。」
先生「必要な形の電気へ変える。」
ピノキン「コンセントから直接CPUへ、じゃないんだ!」
ピノキン「ここでも電圧を?」
先生「部品の近くでも細かく調整する。」
ピノキン「熱が金属へ移っている!」
先生「空気などへ逃がすんだ。」
ピノキン「満充電まで同じ速さ?」
先生「状態で電流や電圧を調整するよ。」
先生「ファームウェアの後にOSへ。」
ピノキン「案内役が先にいるんですね!」
ピノキン「スリープは全部停止?」
先生「残す状態と電力は方式によるんだ。」
ピノキン「動き始めるまでにも仕組みが!」
先生「電源、熱、起動を分けて考えられたね。」
ここだけ覚える
電力を必要な形へ変え、熱を外へ移し、ファームウェアからOSへ段階的に起動します。
ノートで確認
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| AC / DC | 交流/直流 |
| VRM | CPUなどに必要な電圧を供給・制御する回路 |
| W / Wh | エネルギーを使う速さ/エネルギーの量 |
| ファームウェア | 装置の基本動作などを担当するソフト |
| UEFI | OS起動などに関わるファームウェアのインターフェース仕様 |
| ブートローダー | OSの読み込みや起動につなぐプログラム |
9-1 コンセントの電気はそのまま使える?
交流を電源装置やACアダプターで適切な直流へ変えます。代表的なスイッチング電源は整流、スイッチング、変圧・絶縁、平滑化、出力制御などを組み合わせます。構成と順序は方式によります。出力を監視し動きを調整するフィードバック制御も使います。
電源内部は危険な電圧があり、抜いた後も電荷が残る場合があります。この教材では電源やACアダプターを分解しません。
9-2 CPUの近くでも変換する理由

図09Aの見方: 複数段の変換には損失があり、部品ごとの条件も異なります。
CPUなどは低電圧で大電流を必要とする場合があり、基板上のVRMなどが調整します。降圧スイッチング回路の代表例では、スイッチで供給を切り替え、コイルで電流の急変を抑え、コンデンサーで電圧変化を抑えます。
理想的な降圧回路の定常状態では、出力電圧をおおむね入力電圧×デューティ比で考えるモデルがあります。実機は損失、動作モード、制御条件を含みます。単なる抵抗で余りを全部熱にする方法より効率よく変換できる構成がありますが、100%ではありません。
9-3 WとWh
平均20 Wで3 h使えば60 Wh。60 Whを20 Wで使う理想時間は3 hです。実際は損失、利用可能容量、温度、劣化、作業で変わります。1 Wh=3,600 Jです。
Ahは電荷量に関係し、1 Ah=3,600 C。エネルギーの概算は公称電圧V×容量AhでWhへ換算します。mAhだけでは電圧の違う電池のエネルギーを直接比較できません。
大出力の電源は供給能力を示し、常に最大電力を消費する意味ではありません。例えば出力90 W、効率90%なら入力は100 W、損失は10 Wという単純計算になります。効率は負荷などで変わります。
9-4 なぜ熱になる?
抵抗の損失、容量の充放電、漏れ電流などでエネルギーを消費します。抵抗ではP=I²R。CPU全体はこの式だけでなく、第2章の動的電力なども関係します。
エネルギーが消えてなくなるのではなく、熱として周囲へ移ることを含めて考えます。高性能化で小さな面積に大きな発熱が集中すると、熱を運び出す経路が重要になります。
9-5 ファンは熱をどこへ移す?

図09Bの見方: 熱は消えるのではなく、経路を通って周囲へ移ります。
半導体→パッケージ→接触材料→冷却器→空気などへ熱が移ります。ヒートシンクは熱を広げ、空気へ渡す面積を増やします。グリスなどは微細な隙間を埋めますが、厚いほどよいものではありません。
ファンは空気を動かし、暖まった空気を入れ替えます。無条件に室温以下を作る装置ではありません。ヒートパイプは内部の液体の蒸発・凝縮などを使います。水冷は液体へ熱を移してラジエーターなどから放出し、熱が消えるわけではありません。
9-6 温度はどのくらい上がる?
単純な定常モデルは温度差≒発熱W×熱抵抗K/W。50 W×0.5 K/W=25 Kの温度差です。温度差25 Kは温度差25℃と同じ大きさです。
実機は複数の熱経路と変化する風量などがあります。起動直後の上がり方には熱容量と時間も関係します。温度・電力制限によって性能を下げる場合もあり、ファン音だけで故障を断定しません。
9-7 バッテリーは液体のように電気をためる?

図09Dの見方: 代表的なリチウムイオン充電の概念。電圧と電流の縦軸は別です。
リチウムイオン電池は電極の反応とイオンの移動などでエネルギーを出し入れします。内部のイオン移動と、外部回路の電子の流れが関係します。充電は外からエネルギーを与えて状態を戻す方向へ進めます。
代表的な充電には、状態確認や予備充電、定電流、定電圧などの段階があります。定電圧の段階では電流が小さくなり、最後まで同じ速さでは進みません。条件は電池と制御回路によります。保護・監視が必要で、電池を直接配線する実習は行いません。
9-8 OSの前に誰が起動する?

図09Cの見方: ファームウェアの設定画面と、OSの正常起動は別の段階です。
電源の立ち上がり、リセットからの開始、ファームウェアによる初期化、起動先選択、ローダー、OSの管理とドライバーの準備、利用環境という順に進みます。CPUの開始位置や初期化の分担は機種によります。
UEFIのブートマネージャーは、候補などの情報からOS起動につながるプログラムを選びます。POSTなどの検査は全故障を完全に検出する保証ではなく、設定画面が出ることとOSが正常に動くことも別です。
Secure Bootは起動するソフトの署名などを信頼の条件と照合する仕組みで、ディスク全体の暗号化とは別です。起動後のすべての攻撃を防ぐものでもありません。
9-9 スリープ・休止・終了
| 状態 | 基本の考え方 |
|---|---|
| スリープ | 状態を残し、消費電力を減らして待つ |
| 休止 | 状態をストレージへ保存し、電力を大きく減らす |
| シャットダウン | OSの終了処理を行い通常の利用状態を終える |
| 再起動 | 終了して再び起動する |
スリープには複数の方式があり、待機中に処理や通信を行う構成もあります。Windowsの高速スタートアップなどにより、終了と再起動でOS状態の扱いが違う場合があります。見かけ上消灯しても待機電力や一部機能が残ることがあります。
9-10 電源の近くの小さな部品は何をする?
回路が急に電流を使うと、配線などの影響で供給電圧が揺れます。近くに配置するデカップリングコンデンサーなどは、短い時間の電流変化に対応し、電源の揺れを抑える設計に役立ちます。無限の電力を供給するものではなく、容量や配置にも条件があります。
電源が十分に安定しないうちに動作させないリセット制御や、低電圧・過電流・温度などの監視も重要です。具体的な保護内容は製品によるため、保護があるから危険な使い方をしてよいという意味ではありません。
操作の流れ・今日の実習
アダプターの出力V・A・W、電池のWhを調べます。複数の出力条件を無条件に足しません。通常の作業で排気やファンの変化を観察し、保存後に再起動の段階を記録します。通風口をふさぐ実験はせず、異臭・煙・電池の膨らみがある装置は使用を中止します。
理解度チェック
出典
第10章 全部をつなげて、パソコンを理解しよう
この章の到達目標: 部品の連携を説明し、仕様と不調を切り分ける。
今日の疑問
動画を一本再生するとき、今まで学んだ部品はどう協力するのでしょう。最初から最後まで追い、仕様の読み方と、不調の調べ方につなげます。
まんが「学園祭の生放送を成功させよう!」


まんがのセリフを読む
ピノキン「今日は生放送です!」
先生「今までの仕組みがつながるね。」
ピノキン「光と音を数字に!」
先生「撮影・録音の入口だ。」
ピノキン「作業中はメモリへ!」
先生「CPUや専用回路が処理する。」
ピノキン「圧縮して通信のまとまりへ!」
先生「送り先と手順も必要だ。」
ピノキン「受け取ったらすぐ表示?」
先生「時刻を扱い、復号して再生するんだ。」
ピノキン「途中から重い!」
先生「原因を一つずつ切り分けよう。」
ピノキン「数字の大きい部品を買えば?」
先生「仕事と全体の釣り合いで考えるんだ。」
ピノキン「動きで説明できました!」
先生「自分で考えるための土台ができたね。」
ここだけ覚える
全体の動作は、一つの部品だけで決まりません。データの経路と、どこで待っているかを考えます。
ノートで確認
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| ボトルネック | 全体の処理能力を制限する部分 |
| レイテンシー | 一つの処理・応答の待ち時間 |
| アクセラレーター | 特定処理を効率よく進める回路など |
| 互換性 | 条件を満たして一緒に使えること |
| 切り分け | 条件を変え原因の候補を絞ること |
10-1 動画再生の最初から最後まで

図10Aの見方: 一連の仕事に、多数の部品とソフトウェアが関係します。
入力装置が操作を検出し、OSとブラウザーが要求を解釈します。DNSなどで接続先を調べ、通信を確立し、必要なデータを要求します。近い配信拠点を選ぶ、回線状況に応じた品質を選ぶ仕組みもあります。
受信データは通信回路・OSなどを経てメモリへ置かれ、先をためるバッファリングも行います。コーデックに対応する処理で映像・音声を復号します。CPUだけでなく、GPU内の専用動画回路などを使う場合もあります。
到着順だけで再生せず、時刻情報などを使って音と映像を合わせます。間に合わなければコマを省くなどの処理もあります。画面は表示回路からパネルへ、音はDACなどを含む経路から振動板へ進みます。受信、復号、時刻どおりの出力はそれぞれ別の条件です。
10-2 CPU・GPU・NPU
CPUは分岐や制御を含む広い処理、GPUは多数の似た計算の並列実行などを得意とします。GPUでも仕事の並列性と転送負担は重要です。NPUなどはニューラルネットワークの処理を効率化することを狙いますが、対応演算・数値形式・モデル・メモリ・ソフトの条件があります。
AIモデルの一部ではy=w₁x₁+w₂x₂+…+bのような積和を計算し、別の関数で変換します。実際には注意機構や正規化など多様な処理があります。回路、学習した値、モデル構造、実行ソフトを区別します。学習と推論も別の段階です。
TOPSなどの演算数は、数値精度、演算の数え方、疎性の扱いなどの条件に依存します。違う前提の数字をそのまま比べず、同じモデルでの時間や消費エネルギーも確認します。
10-3 計算が速ければ全体も速い?
読み書き、転送、待ち合わせがあり、計算回路へデータが届かなければ十分に使えません。最初のデータが来るまでの時間と、連続して運べる量は別です。SSDの連続読み出しと、小さなデータの分散読み出しも違います。
CPUからGPUへ移すと、準備と転送が増え、短い仕事では効果が出ない場合があります。大量の処理や再利用できるデータなら効果が大きくなる場合があります。一つの最大速度で仕事全体は表せません。
10-4 全体の一部だけを速くしたら

図10Bの見方: 部分の高速化と、全体の高速化は同じではありません。
元の時間の40%を占める部分を2倍速くすると、新しい時間は0.6+0.4÷2=0.8。全体の速度は1÷0.8=1.25倍です。改善する部分以外の時間が残ります。
第2章の並列化と同じ考え方です。買い替えや最適化では、速くできる部分の割合を確認します。測定は同じ仕事、入力、設定、電力条件などをそろえ、短期的なピークと継続性能も分けます。
10-5 仕様を用途へ結び付ける
| 仕様 | 手掛かり | これだけでは決まらないこと |
|---|---|---|
| CPU型番・構成 | 設計、機能 | 自分の作業の時間 |
| メモリ容量 | 作業の余裕 | 帯域、遅延、増設可能性 |
| SSD容量 | 保存できる量 | 小さなアクセスや継続書き込み性能 |
| GPU・専用メモリ | 描画・計算の環境 | すべてのソフトへの効果 |
| 解像度 | 画素の並び | 色、明るさ、見やすさ全体 |
| バッテリーWh | エネルギーの目安 | 実使用時間 |
| USB-C | 形や接続 | 速度、映像、給電の全能力 |
最大周波数、通信速度、充電出力には条件があります。何をどの条件で測った値かを読み、発売時期や同じシリーズ名だけで性能を断定しません。
10-6 増設できるか
メモリは世代、形、上限、スロット、構成を確認し、基板直付けなら通常交換できない場合があります。SSDは形だけでなく通信方式、長さ、空間、冷却、対応を確認します。GPUはスロット、寸法、電源、コネクター、冷却、ソフトの対応が必要です。
ソフトにも命令体系、OS、ドライバー、APIなどの条件があります。対応表と取扱説明書を基準にし、形が似ているから使えると判断しません。
10-7 症状を段階で分ける
| 症状 | 最初に分けて考える候補 |
|---|---|
| 電源の反応がない | 給電、接続、スイッチ、電源系統 |
| 電源は入るが表示しない | 画面の電源・入力、映像経路、起動状態 |
| メーカー画面の後で止まる | 起動先、OS、ストレージなど |
| 操作が重い | CPU、メモリ、ディスク、熱、常駐処理など |
| Webだけ遅い | 無線、回線、DNS、サーバー、ブラウザーなど |
| 特定アプリだけ不調 | アプリ、設定、データ、対応環境など |
これは断定表ではなく入口です。画面が出ない原因が必ず画面とは限らず、初期化が進んでいない場合もあります。
10-8 一度にいくつも変えない

図10Cの見方: 電源・画面・起動・特定アプリなど、症状の段階を分けます。
症状と発生条件を記録し、データを守り、元へ戻せる簡単な確認から始めます。一つだけ条件を変え、結果を記録し、必要なら戻して次を調べます。複数を同時に変更すると、何が効いたかわかりにくくなります。
ストレージ故障が疑われるときは、修理の実験よりデータ保護を優先する場合があります。無理な再試行や初期化が回収の妨げになり得るためです。
10-9 同期とバックアップ
同期は変更をそろえ、削除や誤変更も伝わる場合があります。バックアップは必要な状態へ戻す備えです。履歴やごみ箱にも期間や条件があります。別の場所に見えるだけでなく、戻し方と実際に開けることを確認します。
暗号化は鍵なしに読まれにくくする仕組みで、バックアップではありません。ストレージの二重化も、誤削除や同時被害すべてへの備えではありません。
総合演習・操作の流れ
「カメラとマイクで撮影→編集→保存→送信→別の端末で再生」の経路を説明します。入口は光や音の変換、作業はメモリとCPU等、保存はストレージ、送信は物理信号と通信規則、受信後は復号と時刻管理、出力は画面と振動板です。
途中で遅くなったら、発熱、メモリ、書き込み、通信、アプリなどのどこで待つかを考えます。自分の装置の設定を変更せず、紙の経路図へ候補を記入する実習です。
理解度チェック
この本を読み終えたら
キーから表示まで、命令実行、メモリとSSD、0と1、加算回路、光と色、デジタル化、USB認識、通信、起動、不調の調査、仕様の読み方を自分の言葉で説明してみましょう。答えに詰まれば関連する章へ戻ります。すべての専門分野の暗記ではなく、仕組みをたどって自分で調べる土台が到達点です。
出典・参照する章
この章は第1〜9章の統合です。CPU・並列化は第2章、記憶と保存は第3章、表示は第5章、復号は第6章、接続は第7章、ネットワークは第8章、熱と起動は第9章の出典を参照してください。
PC☆LIVE!未来大学校|工学実習室
しくみを動かして確かめよう
教材用の模型です。実際のパソコン内のファイルや設定は操作しません。結果は、各実習に書いた前提での計算です。
実習1 RGBを混ぜる
各成分8ビットのsRGB符号値を変えます。下の見本は端末の画面表示で、測色器による再現ではありません。
数値128は最大255のほぼ半分ですが、標準のsRGB変換で線形光の相対値は約21.6%です。物理的な絶対輝度や知覚の明るさとは別です。
実習2 8ビットで数を作る
通常の符号なしの値と、同じ8ビットを2の補数として読む値を比べます。符号の意味は、ビット列の解釈で決まります。
実習3 全加算器を動かす
A・B・前の桁からの繰り上がりCinを切り替えます。
| A | B | Cin | 和S | 繰上Cout |
|---|
S=A XOR B XOR Cin。Cout=(A AND B) OR ((A XOR B) AND Cin)。Cinを0にすると、半加算器と同じ結果を確認できます。
実習4 波を測り、段階へ丸める
灰色=元の正弦波、緑=測った値、金=量子化後。横軸は0〜1秒、縦軸は−1〜1の相対値です。表示領域の両端を含めた標本を描きます。
先頭の標本を表で見る
時刻(秒)
標本値
量子化後
教材では−1〜1の両端を含む等間隔の2ⁿ段階へ丸めます。実ADCの端点や段階幅の定義とは異なる場合があります。折り返し周波数は単一正弦波の標本から生じる区別のつかなさを示す説明値で、音の再生は行いません。実装には帯域制限やフィルターも必要です。
実習5 容量・転送時間・使用時間を計算
実習6 コアを増やすと何倍になる?
基準の時間を1とした棒。紺=直列部分、緑=分担後の並列部分。通信・分割・同期の負担を無視し、各コアが同じ能力と仮定した上限です。
実習7 作業中と保存済みを分ける
この画面だけの模型です。「電源を切る模型」を押すと作業欄だけが空になります。保存した文章は、再び読み出せます。
SSDに保存済みの文章の模型
ページを再読み込みすると、この実習の模型は最初に戻ります。実際のファイル保存、電源操作、データ送信は行いません。現実のSSDにも故障やデータ損失があるため、バックアップは別に必要です。
実習室の操作にはJavaScriptが必要です。本文の図表と各問の「正解と解説」はJavaScriptなしでも読めます。
用語辞典
アドレス
記憶場所や通信先などを識別する値。何を指定するかは文脈で異なる。
アナログ
連続する物理量で情報を表すこと。
アンチエイリアシング
標本化前に不要な高周波を抑えるなどして折り返しを防ぐ対策。
参照:6-4節
インターフェース
機器や仕組みを接続する接点や規則。
エイリアシング
標本化した結果で異なる周波数等を区別できなくなる現象。
参照:6-4節
エニュメレーション
接続されたUSB装置の情報を調べ、利用できる状態へ整える過程。
参照:7-6節
エンドポイント
USB装置内の論理的な通信口。
参照:7-7節
演算器
加算や比較などを行う回路。
回路遅延
入力の変化が回路を通って出力へ反映されるまでの時間。
参照:4-8節
解像度
画像や画面の画素数・並びを表す指標。画質全体とは別。
参照:5-8節
可逆圧縮
復号すれば圧縮前と同じデータへ戻せる圧縮。
参照:6-9節
画素
画像や表示を構成する位置の単位。
カプセル化
上位の情報に下位の通信層の情報を加え、包むこと。
参照:8-5節
カラーフィルター
特定の波長範囲の光を通す部材。
感光レジスト
露光や現像で加工用のパターンを作るための感光材料。
キャッシュ
よく使う命令やデータへのアクセスを速めるための記憶。
仮想メモリ
仮想アドレスを物理メモリ等へ対応付け、保護・管理する仕組み。
参照:3-4節
輝度
特定方向への光の強さを面積などと関連させた測光量。符号値と同一ではない。
参照:5-2節
クリッピング
入力・処理の範囲を超えた部分が上限等に制限される現象。
参照:6-5節
クロック
回路の動作の基準となる周期的な信号。
減法混色
インク等の吸収・反射の特性を組み合わせる色の作り方。
コア
CPUの命令実行を担う主要な回路のまとまり。
参照:2-6節
コーデック
音声や映像を符号化・復号する方式や実装。
コンデンサー
電荷を蓄え、電圧との関係Q=CVを持つ部品の基本モデル。
コンテナー
映像・音声・時刻情報等をまとめるファイルの入れ物。
参照:6-10節
サブピクセル
画素内で色などを担当する部分。
参照:5-2節
しきい値
状態判定や動作の境界となる条件。論理入力とMOSFETの条件を混同しない。
ジッター
タイミングの揺らぎ。通信では遅延変動などを指す。
参照:8-9節
順序回路
現在の入力だけでなく内部の状態も使う論理回路。
参照:4-8節
スキャン
場所などを順に選んで調べること。
参照:7-1節
ストレージ
ファイルやプログラム等の保存に使う装置。
スループット
単位時間あたりに実際に転送・処理できる量。
スレッド
ソフトの実行の流れ、またはハードが扱う実行状態。文脈を区別する。
参照:2-6節
整流
交流を一方向の電流に変える処理。
参照:9-1節
走査
順に場所を選んで読み書き・検出すること。
帯域幅
信号では利用する周波数幅。転送能力の意味で使う文脈もある。
参照:8-3節
チャタリング
機械的な接点が短時間に接触と離反を繰り返す現象。
参照:7-2節
電圧
電荷あたりのエネルギー差に対応する量。単位V。
電流
時間あたりの電荷の移動量。単位A。
電力
エネルギーの移動・消費の速さ。単位W。
デコード
命令や符号化した情報を解釈する処理。何を解くかは文脈による。
デジタル
有限の値や記号を使って情報を扱う表現・方式。
デバウンス
接点の細かな跳ね返りを複数入力として扱わないための処理。
参照:7-2節
デモザイク
色フィルター配列の測定値から、画像位置ごとの必要な色成分を推定する処理。
参照:6-8節
トランジスタ
電圧や電流で電流の流れを制御する半導体素子。
参照:4-2節
ドライバー
OSなどが装置を操作するためのソフトウェア。
熱抵抗
熱の移りにくさを表すモデルの量。温度差÷熱流、単位K/Wなど。
参照:9-6節
ノイズマージン
電圧の乱れがあっても次の回路が正しい論理値として受け取れる余裕。
参照:4-1節
ハードウェア
回路や機構など、装置の物理的な部分。
参照:1-1節
パイプライン
複数の処理の工程を重ね、一定時間の処理量を増やす仕組み。
参照:2-5節
パケット
宛先などの情報を伴う通信データのまとまり。
参照:8-5節
バッファー
速度や時刻の違いを吸収するためなどに一時的にデータを置く場所。
半導体
材料、構造、電界などで電気的な性質を制御できる物質。
参照:4-2節
非可逆圧縮
情報の一部を捨てるなどして、完全な元データへの復元を保証しない圧縮。
参照:6-9節
ビット
二つの状態を区別する情報の1桁分。
標本化
連続信号から時間や位置を区切って値を取ること。
参照:6-3節
ファームウェア
装置の基本動作等を担当し、装置内に格納されるソフトウェア。
フィードバック
出力や状態を観測し、その結果を入力や制御へ反映すること。
フォトダイオード
入射光に応じて電荷や電流などを生じる受光素子。
参照:6-7節
フラッシュメモリ
電荷保持などを利用する、電源なしで内容を保持できる記憶。
参照:3-5節
フリップフロップ
クロックの条件に従って状態を取り込み保持する回路。
参照:4-8節
プログラムカウンター
次に実行する命令の位置を管理する仕組み。
参照:2-2節
プロトコル
通信形式や、やり取りの手順の約束。
偏光
光の電界の振動方向等に関係する性質。
参照:5-3節
偏光板
特定の偏光成分を通しやすい部材。
参照:5-3節
変調
搬送波等の振幅・周波数・位相などに情報を対応させること。
参照:8-2節
ボトルネック
全体の処理能力を制限している部分。
参照:10-3節
量子化
値を有限の段階へ対応させること。
参照:6-3節
リフレッシュ
DRAMの失われる電荷に対応して記憶状態を回復する処理。
参照:3-1節
リフレッシュレート
画面を更新する頻度。単位Hz。
参照:5-8節
レイテンシー
一つの処理や応答にかかる待ち時間。
レジスタ
CPUが命令実行の途中で使う、小さく高速な記憶場所。
参照:2-2節
ローリングシャッター
行などで露光・読み出しの時刻がずれる撮像方式。
参照:6-7節
論理回路
論理値の関係を実現する回路。
参照:4-3節
割り込み
CPUへ出来事や処理要求を知らせる仕組み。
参照:7-9節
2の補数
最上位桁に負の重みを与えるなどして符号付き整数を表す方式。
参照:4-6節
ADC
アナログ信号をデジタル値へ変換する回路。
参照:6-3節
ALU
加算や比較、ビット演算などを担当する演算回路。
参照:2-2節
AND・OR・XOR
両方が1、少なくとも片方が1、異なるとき1という二入力の論理演算。
参照:4-3節
bit/s
毎秒のビット数。容量のbitとは異なる。
CMOS
主にnMOSとpMOSを組み合わせて作る回路の方式。
参照:4-2節
CPU
中央処理装置。命令を実行し処理を進める中心の装置。
参照:2-1節
CPI
一命令あたりの平均クロック数。
参照:2-4節
DAC
デジタル値からアナログ信号を作る回路。
参照:6-6節
DMA
CPUが一つずつ運ぶ負担を減らし、コントローラーなどがメモリとの転送を進める仕組み。
参照:7-9節
DNS
ドメイン名に対応する情報を分散して調べる仕組み。
参照:8-7節
DRAM
コンデンサー等に情報を保持し、通常リフレッシュを必要とする主記憶の代表。
参照:3-1節
fps
1秒あたりのフレーム数。画面更新のHzとは別。
GPU
描画や、多数の似た計算を並列に進める用途などに使う処理装置。
HDD
磁気円盤とヘッドを利用する保存装置。
参照:3-7節
HID
キーボードやマウスなどの入力装置に使うUSB装置クラス等の仕組み。
参照:7-6節
Hz
1秒あたりの周期数。
IP
ネットワークを越えてパケットを届けるためのプロトコル。
参照:8-6節
JPEG
静止画像の符号化方式群。一般的な利用では非可逆圧縮が多い。
参照:6-9節
KiB・MiB・GiB
2のべき乗を使う容量単位。それぞれ2¹⁰・2²⁰・2³⁰バイト。
参照:4-7節
MOSFET
ゲートの電圧による電界で、ソースとドレイン間の電流を制御する素子。
参照:4-2節
NAND
SSDなどで使われるフラッシュの方式名。論理回路のNAND演算とは文脈を区別。
参照:3-5節
NPU
ニューラルネットワーク等の処理を効率化することを狙う処理回路。
参照:10-2節
NVMe・M.2
主に通信の手順/形状等の規格。異なる分類なので混同しない。
参照:3-6節
OS
資源や装置を管理し、アプリの実行の土台を提供するソフトウェア。
PCIe
GPUやNVMe SSDなどの接続にも使うシリアルインターコネクト。
参照:7-10節
PCM
標本値をデジタル符号で表す音声等の基本的な方式。
参照:6-3節
RAW
撮像素子の測定に近い段階の情報などを保持する形式。内容は機種や形式による。
参照:6-8節
RGB
赤・緑・青の成分で色を表す方法。色空間や伝達特性も必要。
Secure Boot
起動するソフトの署名などを信頼の条件と照合する仕組み。
参照:9-8節
SoC
複数のシステム機能を一つの半導体に集積したもの。
参照:1-3節
SRAM
回路の安定状態で記憶し、通常DRAMのような周期リフレッシュが不要な揮発性記憶。
参照:3-2節
SSD
主にフラッシュ等を使い、制御回路と組み合わせた保存装置。
sRGB
RGBの原色・白色点・伝達特性等の規則を定めた色空間。
参照:5-2節
TCP
順序のあるバイト列として転送し、再送や流量・輻輳制御等を行うプロトコル。
参照:8-8節
TFT
薄膜トランジスタ。液晶などの画素の選択・書き込みにも使われる。
参照:5-5節
TRIM
不要になった領域をOSなどがストレージへ知らせる仕組み。
参照:3-6節
UDP
データグラムを送るプロトコル。再送等は必要に応じ上位で実装する。
参照:8-8節
UEFI
OS起動などに関わるファームウェアとOS等のインターフェース仕様。
参照:9-8節
USB-C
コネクターの形状・接続等に関する規格。通信性能や映像対応そのものではない。
参照:7-8節
VRM
CPU等の要求に合う電圧を供給・制御する回路。
参照:9-2節
W・Wh
電力/エネルギー。Wh÷Wで理想的な時間を求められる。
参照:9-3節
Unicode・UTF-8
文字に符号位置を与える規格/その符号位置をバイト列で表す符号化方式の一つ。
参照:1-6節
ECC
誤り訂正符号。検出・訂正できる誤りは方式と構成に依存する。
参照:3-8節
パリティ
ビットの個数の偶奇などで、一定の誤りを検出する冗長情報。
参照:3-8節
キャリア
電流に寄与する電子や正孔など。
参照:4-9節
正孔
電子が抜けた状態の振る舞いを、正の電荷を持つ粒子のように扱うもの。
参照:4-9節
ドーピング
不純物を制御して加え、半導体の電気的性質を変えること。
参照:4-9節
n型・p型
主なキャリアが電子/正孔になるようにした半導体。全体の帯電と同義ではない。
参照:4-9節
量子化誤差
実際の値を有限段階へ置き換えることで生じる差。
参照:6-3節
デシベル
比を対数で表す単位。電力比は10 log₁₀で表し、倍率と区別する。
参照:8-3節
輻輳
通信の需要が経路の処理・転送能力を超え、混雑する状態。
TLS
通信の暗号化、認証、改ざんの検証などを担うプロトコル。
参照:8-10節
デカップリング
電源の揺れ等の影響を抑えるため、近くの容量などを利用する設計。
参照:9-10節
熱容量
物体の温度を変えるために必要な熱量に関わる量。
参照:9-6節
TOPS
毎秒の兆回単位の演算数。精度、疎性、数え方などの条件をそろえて比較する。
参照:10-2節
差動信号
二本の信号の差などを利用する方式。同様に加わる雑音に対処しやすくできる。
参照:7-12節
節番号索引
ページ番号ではなく、画面幅や版が変わっても使える節番号で参照します。かな・漢字項目は読み順、英数字項目は表記順です。
かな・漢字
| 項目 | 主な説明箇所 |
|---|---|
| アドレス | 1-3節、3-3節、8-6節 |
| アナログ | 4-1節、6-3節 |
| アンチエイリアシング | 6-4節 |
| インターフェース | 7-6節、7-8節 |
| エイリアシング | 6-4節 |
| エニュメレーション | 7-6節 |
| 演算器 | 2-2節、4-4節 |
| エンドポイント | 7-7節 |
| 解像度 | 5-8節 |
| 回路遅延 | 4-8節 |
| 可逆圧縮 | 6-9節 |
| 仮想メモリ | 3-4節 |
| カプセル化 | 8-5節 |
| カラーフィルター | 5-4節、6-8節 |
| 感光レジスト | 4-8節、5-6節 |
| 画素 | 5-2節、6-7節 |
| 輝度 | 5-2節 |
| キャッシュ | 3-3節、2-5節 |
| キャリア | 4-9節 |
| クリッピング | 6-5節 |
| クロック | 2-4節、4-8節 |
| 減法混色 | 5-1節、7-11節 |
| コア | 2-6節 |
| コンテナー | 6-10節 |
| コンデンサー | 4-1節、4-9節 |
| コーデック | 6-10節、10-1節 |
| 差動信号 | 7-12節 |
| サブピクセル | 5-2節 |
| しきい値 | 4-1節、4-2節 |
| ジッター | 8-9節 |
| 順序回路 | 4-8節 |
| スキャン | 7-1節 |
| ストレージ | 1-3節、3-5節 |
| スループット | 8-9節、10-3節 |
| スレッド | 2-6節 |
| 正孔 | 4-9節 |
| 整流 | 9-1節 |
| 走査 | 5-5節、7-1節 |
| 帯域幅 | 8-3節 |
| チャタリング | 7-2節 |
| デカップリング | 9-10節 |
| デコード | 2-2節、6-10節 |
| デシベル | 8-3節 |
| デジタル | 4-1節、6-3節 |
| デバウンス | 7-2節 |
| デモザイク | 6-8節 |
| 電圧 | 4-1節、4-9節 |
| 電流 | 4-1節、4-9節 |
| 電力 | 2-7節、9-3節 |
| トランジスタ | 4-2節 |
| ドライバー | 1-4節、7-6節 |
| ドーピング | 4-9節 |
| 熱抵抗 | 9-6節 |
| 熱容量 | 9-6節 |
| ノイズマージン | 4-1節 |
| 半導体 | 4-2節 |
| ハードウェア | 1-1節 |
| バッファー | 8-9節、10-1節 |
| パイプライン | 2-5節 |
| パケット | 8-5節 |
| パリティ | 3-8節 |
| 非可逆圧縮 | 6-9節 |
| 標本化 | 6-3節 |
| ビット | 4-5節、4-7節 |
| ファームウェア | 1-5節、9-8節 |
| フィードバック | 3-2節、9-1節 |
| フォトダイオード | 6-7節 |
| 輻輳 | 8-4節、8-8節 |
| フラッシュメモリ | 3-5節 |
| フリップフロップ | 4-8節 |
| プログラムカウンター | 2-2節 |
| プロトコル | 7-7節、8-5節 |
| 偏光 | 5-3節 |
| 偏光板 | 5-3節 |
| 変調 | 8-2節 |
| ボトルネック | 10-3節 |
| リフレッシュ | 3-1節 |
| リフレッシュレート | 5-8節 |
| 量子化 | 6-3節 |
| 量子化誤差 | 6-3節 |
| レイテンシー | 8-9節、10-3節 |
| レジスタ | 2-2節 |
| 論理回路 | 4-3節 |
| ローリングシャッター | 6-7節 |
| 割り込み | 7-9節 |
英数字
| 項目 | 主な説明箇所 |
|---|---|
| 2の補数 | 4-6節 |
| ADC | 6-3節 |
| ALU | 2-2節 |
| AND・OR・XOR | 4-3節 |
| bit/s | 4-7節、8-9節 |
| CMOS | 4-2節 |
| CPI | 2-4節 |
| CPU | 2-1節 |
| DAC | 6-6節 |
| DMA | 7-9節 |
| DNS | 8-7節 |
| DRAM | 3-1節 |
| ECC | 3-8節 |
| fps | 5-8節、6-10節 |
| GPU | 5-8節、10-2節 |
| HDD | 3-7節 |
| HID | 7-6節 |
| Hz | 2-4節、5-8節、6-3節 |
| IP | 8-6節 |
| JPEG | 6-9節 |
| KiB・MiB・GiB | 4-7節 |
| MOSFET | 4-2節 |
| NAND | 3-5節 |
| NPU | 10-2節 |
| NVMe・M.2 | 3-6節 |
| n型・p型 | 4-9節 |
| OS | 1-4節、9-8節 |
| PCIe | 7-10節 |
| PCM | 6-3節 |
| RAW | 6-8節 |
| RGB | 5-1節、5-2節 |
| Secure Boot | 9-8節 |
| SoC | 1-3節 |
| SRAM | 3-2節 |
| sRGB | 5-2節 |
| SSD | 3-5節、3-6節 |
| TCP | 8-8節 |
| TFT | 5-5節 |
| TLS | 8-10節 |
| TOPS | 10-2節 |
| TRIM | 3-6節 |
| UDP | 8-8節 |
| UEFI | 9-8節 |
| Unicode・UTF-8 | 1-6節 |
| USB-C | 7-8節 |
| VRM | 9-2節 |
| W・Wh | 9-3節 |
図版一覧
| 図番号 | 図名・参照 | 本文の位置 |
|---|---|---|
| 01A | キーから画面と保存先へ | 1-2節 |
| 01B | データ・アドレス・制御 | 1-3節 |
| 02A | 簡略CPUの命令実行 | 2-2節 |
| 02B | 工程を重ねるパイプライン | 2-5節 |
| 02C | 4コアでも4倍とは限らない | 2-6節 |
| 03A | DRAMの1セルと読み書き | 3-1節 |
| 03B | 記憶の階層 | 3-3節 |
| 03C | NANDの状態数と書き換え単位 | 3-5節 |
| 04A | 論理0と1は電圧の範囲 | 4-1節 |
| 04B | CMOS NOTの働き | 4-2節 |
| 04C | 半加算器の和と繰り上がり | 4-4節 |
| 04D | 2進数の桁の重み | 4-5節 |
| 04E | 半導体を作る工程 | 4-8節 |
| 04F | 露光から模様を作る断面 | 4-8節 |
| 05A | 画素とRGBサブピクセル | 5-2節 |
| 05B | TN液晶:偏光と明るさ | 5-3節 |
| 05C | 行・列とTFTの選択 | 5-5節 |
| 05D | 液晶パネルを作る工程 | 5-6節 |
| 05E | データが画面の光になるまで | 5-8節 |
| 05F | 液晶パネルの層を横から見る | 5-4節 |
| 06A | 音を記録し、再生する経路 | 6-2節 |
| 06B | 標本化:時間の方向を区切る | 6-3節 |
| 06C | 量子化:値を段階へ区切る | 6-3節 |
| 06D | ベイヤー配列の一例 | 6-8節 |
| 06E | 予測と差で表す考え方 | 6-10節 |
| 07A | キーマトリクスの走査 | 7-1節 |
| 07B | チャタリングと安定確認 | 7-2節 |
| 07C | USB接続から利用開始へ | 7-6節 |
| 07D | CPUが一つずつ運ばないDMA | 7-9節 |
| 08A | データを層の情報で包む | 8-5節 |
| 08B | 端末から遠くのサーバーへ | 8-6節 |
| 08C | 待ち時間は転送速度だけでは決まらない | 8-9節 |
| 08D | 位相で情報を表す考え方 | 8-2節 |
| 09A | 電力の変換経路 | 9-2節 |
| 09B | CPUの熱はどこへ行く? | 9-5節 |
| 09C | OSが動く前から始まる起動 | 9-8節 |
| 09D | 充電の定電流・定電圧 | 9-7節 |
| 10A | 撮影から遠隔再生まで | 10-1節 |
| 10B | 40%の部分を2倍にすると | 10-4節 |
| 10C | 故障を決めつけず切り分ける | 10-8節 |
出典一覧
内容確認日:2026年10月26日。規格団体、大学、メーカーの一次資料を中心に、本文の対応するテーマを確認しました。特定製品の推奨値や購入時の最新仕様は、本書から推測せず各製品の説明書で確認してください。引用図の転載ではなく、本書の図は独自に作図した模式図です。
- S01 MIT Computation Structures — 関連:第1章。
- S02 MIT Computation Structures 講義資料 — 関連:第2章。
- S03 Intel Thermal Management Features — 関連:第2・9章。
- S04 Samsung DRAM — 関連:第3章。
- S05 MIT Memory Hierarchy — 関連:第3章。
- S06 Micron NANDフラッシュ — 関連:第3章。
- S07 Microsoft メモリ — 関連:第3章。
- S08 NIST Binary prefixes — 関連:第4章。
- S09 MIT CMOS Technology — 関連:第4章。
- S10 ASML How microchips are made — 関連:第4章。
- S11 キヤノン テレビと液晶 — 関連:第5章。
- S12 エプソン LCDモジュール — 関連:第5章。
- S13 TOPPAN 電子材料資料 — 関連:第5章。
- S14 京セラ 液晶構造 — 関連:第5章。
- S15 W3C CSS Color 4:sRGBの定義と変換 — 関連:第5章。
- S16 TI ADC学習シリーズ — 関連:第6章。
- S17 TI アンチエイリアシング — 関連:第6章。
- S18 Canon CMOS Sensors — 関連:第6章。
- S19 Sony ローリングシャッター — 関連:第6章。
- S20 USB-IF HID — 関連:第7章。
- S21 USB-IF Cables and Connectors — 関連:第7章。
- S22 USB Power Delivery — 関連:第7章。
- S23 Microsoft USB-C FAQ — 関連:第7章。
- S24 VESA DisplayPort FAQ — 関連:第7章。
- S25 IETF TCP RFC 9293 — 関連:第8章。
- S26 IPv6 RFC 8200 — 関連:第8章。
- S27 DNS RFC 1034 — 関連:第8章。
- S28 UDP RFC 768 — 関連:第8章。
- S29 UDP Usage RFC 8085 — 関連:第8章。
- S30 UEFI Specification 2.11 — 関連:第9章。
- S31 TI 充電制御例 — 関連:第9章。
- S32 Unicode UTF-8 FAQ — 関連:第1・4章。
- S33 MIT Microelectronic Devices and Circuits — 関連:第4章。
- S34 Sharp TN液晶の原理 — 関連:第5章。
- S35 Intel ECC correctable errors — 関連:第3章。
- S36 Toshiba デカップリングの必要性 — 関連:第9章。
- S37 CDC NIOSH 通信容量の解説 — 関連:第8章。
- S38 Intel NPU acceleration LLM performance — 関連:第10章。