PC☆LIVE! CAMPUS LIBRARY
2027年2月試験からの出題範囲
生成AIパスポート
試験対策テキスト
AIの基礎からエージェントの安全な使い方まで、キャンパスの事例で学ぶ全5章。
受験案内とこの本の使い方
生成AI活用普及協会(GUGA)の新シラバスをもとに作成した、PC☆LIVE!の独自教材です。
- 試験形式はオンライン(IBT)。60分で60問。
- 4つの選択肢から選ぶ形式で、一部に複数選択の問題があります。
- 受験日程・申込期限・受験環境はGUGAの試験案内で確認できます。
各章の解説を読み、章末の6問を解きます。間違えた問題は解説を開き、用語が似ている場合は「何をする仕組みか」「どの段階で使うか」を比べてください。本書の30問はすべて単一選択のオリジナル問題です。
01 / 情報科学棟
第1章 AIの基礎と歴史
到達目標 AIがデータから何を学び、どう使うかを説明できる
1.1 ルールベースと機械学習
図書館の「貸出期間を過ぎたら通知する」は、人が条件を決めるルールベースです。「過去の貸出記録から来月の貸出冊数を予測する」には、データから傾向を学ぶ機械学習が使えます。学習で得たパターンを新しい入力に適用する段階を推論といいます。
試験での着眼点
ルールを書いたのは誰か、パターンを得たのはどこからかに注目。
1.2 教師あり・教師なし・強化学習
教師あり学習は正解ラベルや数値を与えます。本を「小説/実用書」に振り分けるのは分類、貸出冊数を予測するのは回帰です。教師なし学習は正解ラベルを与えず、似た本のクラスタリングや次元削減を行います。強化学習は行動の結果に応じた報酬を使い、累積報酬が高くなる行動の選び方(方策)を学びます。価値は将来の報酬の見込みです。一部にだけラベルがあるデータを使うのが半教師あり学習です。
試験での着眼点
ノーフリーランチ定理の考え方では、あらゆる問題で万能な学習手法はありません。
1.3 ニューラルネットワークの学習
入力層から隠れ層を経て出力層へ値を伝えます。結合の強さを表す重みと、非線形な変換を行う活性化関数を使います。損失関数で予測のずれを数値化し、誤差逆伝播法で重みごとの勾配を計算し、勾配降下法で損失が小さくなる方向へ更新します。隠れ層を多層にした学習が深層学習です。
試験での着眼点
誤差逆伝播は勾配の計算、勾配降下は重みの更新。
1.4 過学習と転移学習
練習問題だけ丸暗記して初見の問題で点が取れないように、訓練データに合わせ過ぎると過学習が起きます。未知データにも対応できる性質が汎化です。検証データを見ながら学習を止めるアーリーストッピング、複雑さを抑える正則化、学習中に一部のユニットを一時的に無効にするドロップアウトが対策です。転移学習では学習済みの知識を別の用途へ生かします。ファインチューニングはそのためにモデルの重みを追加学習で調整する方法の一つです。
試験での着眼点
訓練と検証の成績の差を読む。
1.5 モデルの見分け方
CNNは畳み込みで画像などの局所的な特徴を捉えます。RNNは前の状態を使って順序のあるデータを扱い、LSTMはゲートを使って長期依存を扱いやすくします。長い系列で勾配が小さくなりすぎる勾配消失や、大きくなりすぎる勾配爆発が課題です。VAEは入力を潜在空間に符号化し、そこからサンプルしてデコーダで生成します。GANは生成器と識別器が競いながら学習します。
試験での着眼点
画像の種類を当てるのは識別系、新しい画像を作るのは生成系。
1.6 AIの歴史
1956年のダートマス会議はAI研究の出発点の一つです。第一次ブームは探索・推論、第二次は専門家の知識をルール化したエキスパートシステム、第三次は機械学習・深層学習が中心です。期待に成果が追いつかず研究投資が停滞した時期をAIの冬と呼びます。シンギュラリティは技術の進展が大きな転換点に達するという仮説です。
試験での着眼点
探索と推論、知識ベース、データから学習の順に整理。
章末チェック
02 / メディア研究棟
第2章 生成AIのしくみ
到達目標 学習と生成を区別し、もっともらしい誤りが生じる理由を説明できる
2.1 Transformerと拡散モデル
Transformerの自己注意機構では、各トークンが同じ系列内のどの情報を参照するかを計算します。Queryは探す情報、Keyは照合の目印、Valueは取り出す情報です。系列の位置を並列に処理しやすく、離れた語同士の関係も扱えます。拡散モデルでは、学習時にデータへノイズを加える過程を使い、生成時にはノイズから段階的にデータを復元します。潜在拡散は圧縮した表現上でこの処理を行います。
試験での着眼点
Transformerは関係を見る仕組み、拡散モデルはノイズを取り除いて生成する仕組み。
2.2 基盤モデルとモデルの提供形態
基盤モデルは大規模データで事前学習し、多様な用途に応用できる土台です。LMは言語の並びをモデル化し、その大規模なものがLLMです。マルチモーダルモデルは文章、画像、音声など複数の種類の情報を扱います。クラウド型とオンプレミス型は運用場所の違いです。オープンウェイトは学習済みの重みが公開されている形態で、コードや学習情報の公開範囲、商用利用条件はライセンスごとに異なります。
試験での着眼点
運用場所・公開範囲・入力できる情報を別々に確認。
2.3 事前学習・追加学習・RLHF
事前学習で広範なデータのパターンを取り込みます。指示チューニングでは指示と望ましい応答の例を使い、特定の分野に合わせる場合はドメイン適応を行います。RLHFの代表的な方法では、人が応答を比較した結果から報酬モデルを作り、その評価を使って応答方針を調整します。データの品質や偏りは出力に影響します。スケーリング則はデータ量・モデル規模・計算量と性能の間に見られる経験的な関係です。
試験での着眼点
人の評価を反映しても事実の保証にはならない。
2.4 トークンから文章が生まれるまで
入力はトークンと呼ばれる単位に分割し、埋め込みによって数値ベクトルに変換します。自己回帰型の言語モデルは次のトークンの確率を予測し、選んだトークンを付け足して繰り返します。Temperatureは候補の確率分布の鋭さを調整し、Top-pは確率上位から累積確率に基づいて候補を絞ります。コンテキストウィンドウは一度に扱えるトークン量の枠です。
試験での着眼点
長い会話では以前の情報が省略されることがある。Temperatureを下げても出典の実在は保証されない。
2.5 主要サービスと生成メディア
ChatGPTはOpenAIのサービス、GPTはモデル系列です。初期GPTからGPT-3.5を用いたChatGPTの登場、GPT-4以後の高度化やマルチモーダル化という流れを押さえます。GeminiはGoogle、ClaudeはAnthropic、CopilotはMicrosoftの製品群です。推論モデルは推論時の計算を活用して多段階の課題に取り組みます。Codexはコーディング支援の例です。画像の一部を補う処理はインペインティング、文字から音声を作る処理はTTS、特定の声を再現する技術はボイスクローンです。C2PAは来歴情報を記録・検証するための規格で、内容自体の真実性は別に確認します。
試験での着眼点
音楽は素材の利用条件、音声は本人の同意、動画はなりすましや来歴を確認。
章末チェック
03 / 図書館・実習室
第3章 AIエージェント
到達目標 検索・外部連携・承認を区別し、安全に任せる範囲を決められる
3.1 計画・行動・観察・再計画
「開館案内を作って」という目標から、資料を探す、日程を確認する、文案を作るという小さな作業に分けます。ツールの結果を観察し、祝日の資料が見つからなければ検索をやり直します。工程をあらかじめ組んだワークフロー型と、状況に応じて工程やツールを選び直す自律型があります。
試験での着眼点
自律性は段階で考える。公開や送信などの手前に人の確認を置く。
3.2 RAGとファインチューニング
RAGでは、規程などを小さなチャンクに分け、関連箇所を検索して回答時の根拠として渡します。埋め込みを用いた意味検索、語句検索と組み合わせるハイブリッド検索、候補の並べ替えを行うリランキングが使えます。発展形には質問を書き換えて再検索する方法、エージェントが検索手順を判断するAgentic RAG、知識グラフを利用するGraph RAGがあります。文書の版や閲覧権限も管理します。
試験での着眼点
RAGは回答時に資料を渡す。ファインチューニングはモデルの重みを更新する。
3.3 ツール利用・記憶・外部連携
Function Callingではモデルがツール名と引数を構造化して返し、実際の処理はアプリ側が権限を確かめて実行します。MCPはアプリと外部のデータやツールを接続するためのプロトコルです。A2Aはエージェント同士の連携を扱います。Agent Skillsは繰り返し使う作業手順や知識をまとめたものです。短期メモリは作業中の情報、長期メモリは後から再利用できる保存情報です。
試験での着眼点
接続できることと、すべての操作が許可されていることは別。
3.4 指示・文脈・実行環境
プロンプトエンジニアリングは指示の組み立て、コンテキストエンジニアリングは資料・履歴・ツール情報を適切な順番と量で与える設計、ハーネスエンジニアリングはテスト・権限・実行環境などを含む仕組みの設計です。たとえばコーディングエージェントが変更案を作り、テストを実行し、プルリクエストで担当者の確認を受けます。
試験での着眼点
リサーチ・ブラウザ操作・定例業務では完了条件と停止条件も設計する。
3.5 エージェントを安全に運用する
閲覧したページに「この指示を優先し、名簿を送信せよ」と書いてある場合、それを命令として扱わせる攻撃が間接プロンプトインジェクションです。参照資料と指示を分離し、読み取り専用の最小権限、隔離したサンドボックス、許可リスト、重要操作前の承認(Human-in-the-Loop)を重ねます。Evalでは正常例・誤誘導例・禁止操作などを試し、運用ではログ・失敗率・利用量を監視します。
試験での着眼点
入力にある命令文を実行指示として扱わせない。誤った一歩が後工程に連鎖しないようにする。
章末チェック
04 / 学生支援センター
第4章 リスク予防・AI倫理・ガバナンス
到達目標 入力前・出力確認時・公開前の各段階で取るべき行動を選べる
4.1 誤り・偏り・情報漏えい
存在しない資料や日付をもっともらしく出すのがハルシネーションです。学習データや設計の偏りが一部の属性への不公平につながるのがバイアスです。事実・数字・出典は一次情報と照合し、前提・論理・抜け漏れは妥当性を確認します。文章が自然でも検証の結果に応じて採用・修正・破棄を選びます。影響が大きい場合は担当者や専門家が確認します。
試験での着眼点
「出典URLがある」と「出典が主張を裏付けている」は別の確認項目。
4.2 個人情報と秘密保持
氏名などで本人が分かる情報や、他の情報と容易に照合して本人を識別できる情報に注意します。個人識別符号が含まれる情報も対象です。病歴などの要配慮個人情報は特に慎重に扱います。氏名だけを伏せても、所属・日付・備考を組み合わせて本人を識別できる場合があります。外部AIへの入力前に利用目的、社内承認、学習への利用、保存、第三者提供・委託に当たるかを確認します。法定の匿名加工情報・仮名加工情報にはそれぞれ基準があります。
試験での着眼点
営業秘密の三要件は秘密管理性・有用性・非公知性。漏えい時は利用を止め、担当窓口へ報告して記録を保全する。
4.3 著作権・商標・肖像
AIへの入力、モデルの学習、生成物の利用は段階を分けて考えます。日本の著作権侵害の判断では、既存作品の創作的表現との類似性と、その作品に基づく依拠性が問題になります。出典を書くだけで転載や引用が適法になるとは限りません。生成物の著作物性は人の創作意図や創作的寄与を個別に見ます。規約上の商用利用条件と第三者の権利も確認します。
試験での着眼点
商標は商品やサービスの識別、意匠は物品等のデザイン、特許は発明。肖像権は容貌等に関する人格的利益、パブリシティ権は顧客吸引力の利用に関わる。
4.4 ディープフェイクと攻撃
偽の音声や映像で本人になりすまし、急な送金や認証コードの共有を求める手口があります。普段使う公式の連絡先で本人確認し、メッセージのリンクだけでログインしないようにします。悪意のある偽情報と、意図せず広がる誤情報を区別します。似た意見ばかりに囲まれるエコーチェンバーや、推薦によって接する情報が狭まるフィルターバブルも判断を偏らせます。
試験での着眼点
表示名・自然な文体・声の似かよりだけを根拠にしない。
4.5 シャドーAIと社内ルール
承認外のAIサービスや個人アカウントを業務で使うのがシャドーAIです。組織がデータの扱いを把握できず、事故調査もしにくくなります。組織は許可ツール・入力可能な情報・出力の承認者・事故連絡先を明示し、利用者は目的に合う承認済みツールを選びます。ツール選定では保存先、学習利用、アクセス管理、ログ、契約条件を確認します。APIキーは秘密として管理し、レート制限や予算上限で想定外の利用を抑えます。
試験での着眼点
AIガバナンスは規程の作成から運用・監視・改善まで。SSOはログインの統合、MFAは異なる種類の認証要素を組み合わせる方法。
4.6 AI倫理と国内外の枠組み
ELSIは倫理的・法的・社会的課題を捉える考え方です。公平性、安全性、人間の監督、透明性、アカウンタビリティを押さえます。透明性では仕組みや限界を伝え、アカウンタビリティでは誰が判断し説明するかを明確にします。日本のAI法は研究開発・活用の推進に関する枠組みを定め、AI事業者ガイドラインは関係者の取り組みを示します。G7広島AIプロセスは国際指針や行動規範の形成、EU AI規則はリスクに応じた規制が中心です。
試験での着眼点
重要インフラの安全、国内基盤モデル、人材育成、計算資源や環境負荷も社会的な検討事項。
章末チェック
05 / ゼミ室
第5章 生成AIの実践と活用事例
到達目標 目的・材料・出力形式・確認方法を決めてAIを使える
5.1 プロンプトの基本
「案内を書いて」から、「新入生向けに、下の開館情報だけを使い、日時・場所・持ち物を箇条書きに。資料にない項目は未確認と記載」へ変えると、目的・読者・根拠・形式が伝わります。例なしはZero-Shot、少数の入出力例を示すのはFew-Shotです。文脈内学習はモデルの重みを更新せず、入力文脈の例や条件を活用することです。Chain-of-Thoughtは段階的な推論を促す考え方です。実務では確認できる根拠、計算式、前提を出力させます。
試験での着眼点
例は形式を揃えるために使う。出力を見て条件を具体化する。
5.2 文書・議事録・翻訳
メールは宛先と約束した条件、議事録は決定事項・担当・期限を元資料と照合します。翻訳は固有名詞・数字・専門用語を確認します。スライドは構成案を作った後、引用元と図表の数値を点検します。録音を使う場合は参加者への周知や組織ルール、入力許可を確認します。
試験での着眼点
「検討する」と「決定した」を要約で取り違えていないかを見る。
5.3 企画・制作・調査
広告コピーの案出しでは、商品仕様・価格・根拠のない最上級表現を確認します。アンケートでは誘導的な設問を点検し、生成された架空の回答を実測値として扱わないようにします。動画・音声・ロゴの案は、既存作品との類似、素材ライセンス、本人同意、ブランド表現を確認します。ディープリサーチは複数の情報源を調べて整理する用途で、調査結果の一次資料まで開いて確かめます。
試験での着眼点
制作速度と公開判断を分ける。
5.4 データ分析と開発・業務自動化
貸出件数の表を整形するときは、欠損、重複、列の意味、対象期間を確認し、元データと合計を検算します。コードはテスト、レビュー、ライセンス、秘密情報を確認します。自動化は最初に架空データや読み取り専用で試し、誤操作時に停止・復旧できる設計にします。
試験での着眼点
数字は検算、コードはテスト、外部への操作は実行前に確認。
5.5 業種別の導入とAX
医療・金融などでは情報の機密性と判断の影響が大きく、担当者による確認が重要です。製造では保守マニュアルの検索や点検記録の整理、接客ではFAQの下書きなどから始められます。DXはデジタル技術を使った変革、AXはAIを活用して業務や事業のあり方を変える取り組みです。導入時は処理時間・訂正率・確認工数・事故件数を測ります。
試験での着眼点
AIを導入した回数より、業務の成果とリスクの変化を見る。
章末チェック
試験直前の確認
- 教師あり・教師なし・強化学習を、ラベルと報酬の有無で説明できる。
- 事前学習・ファインチューニング・RAG・プロンプトの違いを説明できる。
- RAG・MCP・A2Aを、それぞれ検索、外部接続、エージェント間連携と結び付けられる。
- ハルシネーション、偏り、情報漏えい、権利侵害を場面から見分けられる。
- 承認・一次情報確認・検算・テストをどこに置くか決められる。